第50話 大掃除 その1

 お姉ちゃんがカレンダーを『バリッ』とめくる。


「もう、今年もあと1ヶ月か……」


 お姉ちゃんが、哀愁を含ませながら言う!?

 私の心の中では『そう言えば、お正月とかどうしよう…?』と考えると、お姉ちゃんが声を掛けてきた。


「ねぇ、恵那!」


「んっ、なに、お姉ちゃん」


「お正月の事なんだけどさ……」


「うん」


 どうやら、お姉ちゃんも同じ事を考えていたらしい。


「“おせち”とかどうする?」


「あっ、ああ、“おせち”か…」

「それより前に何か、やらなきゃ行けない事が有ったような……」


「何か、有ったっけ?」


 お姉ちゃんはそう言い、私は考える。

 しばらくすると私は思い出した!


「思い出した。大掃除だ…!!」


「掃除?」

「掃除なんて、毎週しているでしょ?」


 掃除の言葉で、露骨に嫌な顔をするお姉ちゃん。


「でも、お姉ちゃん。大掃除は毎年、家族みんなでしていたでしょ!」


「でも、恵那」

「今年からしばらくは、お姉ちゃんと恵那しか居ないわよ」

「2人だと大変だから、無理してやらなくても良いよ…」


「そうだけどさ、お姉ちゃん」

「普段、掃除出来てない箇所も有るし、やっぱり新年は綺麗な家で迎えたいじゃない!」


「……恵那は時々、おばあちゃんになるね…」


「そう…?」

「私は普通だと感じるけど!」


 お姉ちゃんは観念した顔をしながら……


「お姉ちゃんの中では『今年は休み!』と考えていたけど、恵那がすると言うなら、付き合うわよ!」


「なら、しようかお姉ちゃん!」

「我が家の大掃除!!」


「分かった……。それでっ、何時大掃除する?」

「善は急げで、来週の土日で!」

「お姉ちゃん、お願いね!」


 ☆


 そして、大掃除の日……

 空は青くて、風もそよ風程度の快晴。

 大掃除には持って来いの日で有る。


「絶好の掃除日和!」


 私はそう言い、大掃除する気一杯なのに、お姉ちゃんはやる気なさそうな顔をしている。


「恵那は相変わらずテンション高いわね」

「お姉ちゃんは少し眠いわ……」


 お姉ちゃんは欠伸あくびをしながら言う。


「まず、今日の予定は―――」


「恵那。お姉ちゃんの言葉は無視かい!?」


「んっ、何か言った…。お姉ちゃん…?」


「もう、いいや!」

「恵那。それで予定は…?」


「今日は、1階と庭掃除だね♪」


「恵那。まずは1階から?」


「そうなるね。お姉ちゃん」


「……じゃあ、始めますか。恵那」


「お~~!」


 お姉ちゃんは掃除機で、1階各部屋の掃除を始める。

 そして私はバケツに水を汲んで、リビング等の窓ふきをする。まずは外側から!


「うぁ~、直ぐに雑巾が真っ黒に成る…」


 雨風が当たりやすい南側の窓は、ちょっと拭いただけで、直ぐに雑巾が黒くなる。


「こりゃ、もう1回拭かないとなぁ」


「でも、お日様が温かくて、掃除していても気持ち良い!」


 さわやかな陽気の中、2回ほど窓を水拭きをしてから、乾いたきれいな布でから拭きをする。出だしから順調な大掃除だ♪

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