デッド·ライフ·ランカー

神夜

プロローグ

 ピーピーピー。地下の建物内に音が響く。

 『システムエラー、システムエラー。直ちにセキュリティを設定し直してください』

 研究所らしき大きな部屋に機械の声が響き渡る。部屋にいる人達は皆、白衣を着ておりその声と赤い警告の光に焦りつつ、システムを直そうとしている。

 「あぁ! くそ! なんでいつも失敗するんだ!」

 「ちょっと静かにして。さすがに368回目の失敗は私もイラついてるから」

 パソコンを構っている男性と女性が話している。

 「ちょっと、サボってないで手を動かして!」

 「はいはい······あ、」

 男性がパソコンの方に体を向けようとしたとき、ディスクのコーヒーが肘に当たってしまった。

 ーーがちゃーんーー。

 「ふぅ、一旦これで終わり」

 女性がそう言いながら振り向くと、男性の方は悲惨な状態だった。

 「あぁー! コーヒーがパソコンに! 私が頑張っていたのに、ちょっと貴方どうするの? このままじゃまたーー」

 『ピーピーピー。システムエラー、システムエラー』

 「ほら! あぁもう! これはもう無理ね」

 「なんか、すまん······」

 「はぁ、もういいわよ。ここは爆破して逃げましょう。みんな、作業は終わり、すぐに地下から脱出して!」

 女性の指示で白衣を着た人達はすぐさま逃げていった。

 「ちょっと! 貴方も早くして。何をボーとしているの?」

 「あ、いや、これまずくね?」

 「まずくねって、ほとんど貴方のせいでなったんですからね、これは上に報告して罰を受けてもらいます! とにかく行くわよ」

 「ちょ、待って!」

 静かな部屋に赤い警告の光とピーピーピーという音と機械の声が響き渡っていた。



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 ドガガガッッッーーーン!!!

 地下室は凄まじい音をたてて爆発した。中にあった物は跡形もなく消えたーーはずだった。

 「フフフ、マッテロヨ、スグニ、ソッチニ、イッテヤル!!」

 爆発した跡地に、黒いモヤモヤがかかったウニらしき者が浮かんでいた。

 これが、後(のち)に人類を脅かす者になるとはまだ誰も知らなかった。






ーー同時時刻ーー亜空間。


 「はぁはぁ、あいつめ。」

青年らしき男が息を荒らしながら、亜空間を絨毯(じゅうたん)らしき物に乗っていた。

 「だが、もうすぐだ。もうすぐでーー」

 ピューードカーーン!

 ピューードカーーン!

 「ワァッ、もうきたのか! しつこいヤツめ!」

 「しつこいとは人聞きの悪い、俺はヒーローだぜ?」

 青年の後ろから、男の人が空中に浮かんで飛んできた。

 「フン、ナニをいう。まあいい、ココでおわらせてやるよ!」

 青年は男に手のひらを向け黒い光線を出した。

 「そう簡単にはいくか!」

 男も腰に着けていた拳銃を青年に向けた。

 『はぁぁぁ!!』

 互いが互いの攻撃でぶつかったその時。

 ヒューーシューーン。

 いきなり二人の後ろの方の亜空間が黒くなり始めていた。

 「厄介だな、もう始まったか。あれに取り込まれたら無の空間にいってしまう。」

 「あ~あ、ココまでか。まあ、じゃあまたね。お·じ·さ·ん!」

 そう言って青年は消えてしまった。

 「誰がおじさんだ。まだ俺は29歳だぞ?」

 男もそう言い残し亜空間から消えていった。

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デッド·ライフ·ランカー 神夜 @mukamishouya

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