第25話 せわしなさと俺
プルルルル・・・・「はい。+プラスでございます。ご用件はーーーー」
プルルルル・・・・「はい。ご用件は・・・ーーーー」
「この子の契約ってどうなってるんだっけ?」
「ちょっと今何件くらい来た??」
「○○テレビさんからですけどどうしますか~??」
「編集長!?!?どこ行ってたんですか!?!?こっちはもうてんやわんやで大変なことになってたんですよ!?!?」
「あらあ・・・・。ここまですごいことになるとは思わなかったわあ・・・。」
「なに現実逃避してるんです!?あなたが拾ってきた子でしょう!?ちゃんと最後まで面倒みてください!!」
+プラス本社。
編集長が仁に電話をかける7時間前の様子である。
普段であれば、営業時間・始業時間のスタートとともに忙しなく動き始める社内であったが、今日は営業前既に、留守電が2桁以上溜まっていた。
現在バイトのみならず、社員まで電話に張り付くと言う現象に陥っている。
助手?の胡桃は入社した瞬間異変を察知してトイレへ行こうとしていた編集長を、素早く捕獲した。
周囲がバタバタしているのに、視線をそらし唇をとんがらせていたため、ろくなこと考えてないなと一瞬で分かった。
本当に凄いことになっちゃったわねえ・・・・。そりゃテレビの1本や2本来るだろうとは思ってたけど。
腕がなるわ!と思う反面、今日は眠れんのかしらと恐ろしさを感じる。
・・・流石私。この目に狂いは無かったようね。彼がどこまで行けるのか。楽しみじゃない・・・!!
「編集長!?聴いてますか!?どこに意識飛ばしてんですか!!」
軽く頭を叩かれた。
それからと言うもの。
頭を無にして対応を行なっていく。
本当は仁君に確認も取らなきゃ行けないし、次の会議の企画書とか作りたいんだけど、体追いつかない・・・。足りない・・・。
ぶっ続けで手と頭と体を使っていたため、脳みそがチリチリしてきた。
このままでは作業効率が低下するだけだと判断して
少し遅めの昼食タイムに入ることに。
財布とスマホを持って食堂に向かおうとすると・・・。
少し髪がボサボサの胡桃が立ちはだかる。
「編集長!!ちょっといいですか??」
********
「え??何??私が??」
「はい・・・・。ついでに私もですけどね・・・。」
今もまだ電話が鳴りやまない中、胡桃が私に上からのお達しを伝える。
偶然廊下で社長に出くわしてしまったんだそう。
「それっていつよ??」
「・・・できれば今週・・・遅くて来週中にでもと・・・。」
胡桃は朝見たときよりもげっそりしていた。
いつもはどんなことがあっても飄々とした態度で仕事をするので、こんなにもわかりやすくやつれているのを見ると、大分揉まれてきたらしい。
私や胡桃は社長になんだかんだ好かれているのよねえ・・・・。
社長からのお達しは以下の通りだ。
・有名ブランドさんとのコラボが決まった
(有名ブランドの社長さんとは友達・意気投合)
・新しい実施形態を模索したい
・ファッションの原点に還るがテーマ
・実用的&実践的なもの
・来年にはシリーズ化して発売したい
そういえば今旋風を巻き起こしている子を見つけたのって君たちだったっけ(だよね。)?
○○の社長が僕に個人的に連絡くれてさあ。
ピピピッと来ちゃったらしいんだよね。
この子に合わせた服着せてみたいって。
あ、でも社長が思っただけで、社員には伝えてないらしいから、まだ企画書にもなってないよ??
でも。話してるうちに楽しくなっちゃってさあ。
やってみたくなったんだよね。僕も。
もっと自然で、生活に溶け込んだファッションって言うのを改めて追及したいねって。
動き出しが肝心でしょ~?
他の所に横取りされないようにしないとね~。
なるはやで確保に向かってね?
細かく使用感については報告してね~。
作れ次第送るから~来週には1つ出来上がるかな。
え?言いたいことは何かって??
現地調査ってわかる??
??何?誘拐じゃないよ~面白いこと言うね。
今までとやることは一緒だよ。
あ、もちろん出張費としてお金は出すよ~
いつから行ってくれる?
来週中までには?そう??なんか急かしちゃったみたいで悪いね。
じゃあ。よろしくね~。
あ~どんなのが見れるのか楽しみだなあ~。
******
+プラス
全国の書店コンビニ等で発売される週刊誌。
女性から男性、老若男女問わず幅広い世代に読まれている。その理由としては、それぞれの年代に合わせて、様々な便利アイテムも同時に紹介を行っているためである。
例として挙げるとすると、モデルにク〇ックルワイパー持たせる的な。
さまざまな企業と提携しており、マイナーな。しかし、とても便利なものが紹介されていたりするため、服が好きと言う人だけでなく買っていく人がいるのだ。
人気の小説家と月2でコラボを行い、短編小説のような雑誌も作っている。
文字と、服。モデルが合わさり、1冊の小説を読んでいるかのような満足感が得られる。そういった読み手への新たなアプローチも行っている。
月1のその雑誌は通常の2倍。
さまざまな角度から読み手を引き込む。
雑誌界では異端の存在だ。
小説家とのコラボの際は、小説へのリスペクトに欠けるため、基本的にモデルの顔は映らないようにしている。
服装はもちろん+プラスの方で協議に協議を重ねて用意しているが、最後に完成系を作者に送り確認をとっている。
(これらは徳丸の妄想であるため、実際にあるかもしれないし、ないかもしれない内容になっています。細かく書いていますが、とりあえず凄い雑誌の会社なんだと思っていただければOK。)
******
「というわけで。申し訳ないのだけれど、あなたを捕獲しろって通達が来ちゃったのよねえ。」
メッセージを読んで、またまた緊急?と思ったけど。思った以上に緊急だった!!
え?捕獲ってどういうこと??
社長さんどうしちゃったのさ!?!?
俺捕獲!?
仁は捕獲と聞いて、イノシシを咥えた虎徹を思い出す。
鋭い牙がイノシシの首元に突き刺さり、最後の唸り声を上げる。
威嚇とは違ったかすれ気味の叫びは、やがて小さくなり・・・・・
ぶるるっと体を揺らす。
「・・・・俺・・・飼殺されるかもしれねえの??」
「・・・・さすがにそうなったら私が訴えてあげるわよ・・・・。多分ね。」
多分!?
え。こわ!!!こっわ!!
不吉なことを言わないでくれる!?!?
電話越しに編集長の方から、怒鳴り声が聞こえてくるのが余計に怖い!!
「あと・・・正式に雇用契約結ばない??もちろん無理強いはしないわ?この間の契約では1回きりのペラペラのものだったけど。」
前回写真を撮り、雑誌に掲載されたときにも一応契約書にはサインを行った。
「街で見かけたコーナー」という名の、一般の人が1回きりで出演するものだったが、しっかりとした契約内容であったように感じる。
口外しない。正規雇用ではない。などなど・・・
金銭的なものも発生しておらず、本当に新人の、これから売れるようになりたい!と言う人がよく掲載されているらしい。
売名の目的が大きいのだろう。
とはいえ、
「・・・俺東京に住むのはちょっと無理なんだが・・・??」
そう。東京に住むのは遠慮したい。
捕獲されたら向こうに住まなきゃならんのだろう。
写真を撮るのは別にいい。
この間もなんだかんだ犬と戯れておしまいだったからちょっと楽しかったし。
でも東京に住むのは無理だ。
家族とも離れ離れになっちゃうし。人混み辛いし。
だけどなあ。
これ断ったら編集長怒られんだろうなあ。
現在進行形で起こられてるみたいだけど。
編集長の事手伝ってあげたい気持ちはやまやまなんだが・・・。
・・・・こればっかりは断らせてもらおう。
「ごめん。正規雇用は「それなら大丈夫!!」・・・・・ん?」
「私がそっちに住まわせてもらおうと思ってるから!!」
そうそう。こっちにねって・・・・・!?!?
おやあ?おやおや?
*********
編集長仕事の様子
「じゃあ、来週くらいにTVの取材に私たちが答えればいいわね。・・・・本人に了承を得てないからあとで私が確認するわ。正規雇用じゃないから、個人的にね。」
「そうそう。本人に迷惑はかけられないわあ。今回は手助けって感じだから。」
「フフフ・・・・・。ミステリアス路線・・・・いいわね。」
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すみません_(._.)_
書こう書こうと思って現在に至ります。
書け次第投稿です。
あと、登場人物行ったり来たりしすぎじゃね?問題が自分の中で浮上しておりますが、出張ってそんなもんだろと思っております。
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