きっとそれはいつかのどこかで繰り返されて来た事なのかもしれない…

 この物語は実際の世界史観を元にし、宗教、文化、戦火、疫病といったものがそこら中に人々の基盤して存在しています。
 これらに善悪はなく、むしろ異なる文化、価値観の対立が人々の対立を生んでいる気がします。

その中で、大切な者を失うという事はごく身近なことだったのかもしれない。

 主人公の少年も、例外なく非常な運命にさらされてしまいます。
幸いによき導き手、両親の愛に救われて、悲劇を乗り切るけれど、トラウマから中々自信が持てず師に依存しがちです。
 魔術の偉大な使い手である師と共にとある街の問題に対処する中で少年は魔術を心得て行き、師の背中を見て成長していきます。

 やがて少年は旅立つ時が来ます。けれどそれは何も準備が出来ていない時にやってくるものです。

 その運命の中でもがき抗って少年は成長していくんでしょうね。

昔に吹いた風というのは肌では感じることができないものですが、この物語は少年の背中に確かに風を感じることができます。きっと少年に自分を重ねてしまうからなのでしょうか…