触れる事の出来ない者達の「時間」

 夏休み東京から来た加奈子は導かれるように四国で自らのルーツと邂逅します。それまで傷つき怯え彷徨う幽霊のように過ごしてきた彼女は自らのルーツ、その象徴たる猫のあやかし狸奴の新しい主となり、夏休みの間共に過ごすのです。
 狸奴と加奈子、二人は実は祖先からの浅からぬ縁によって結ばれていて、過ごす中でお互いを自らの半身のように感じていきます。
お互いの過去、お互いの時間、お互いの記憶、人とあやかし、本来、見る事も触れる事の出来ない存在をかけがえのないひと夏の時間がお互いの心を重ね合わせ、共に歩んでいくように導いていくのです。
そう交わるのでは無く、重なり合うことで…
都会と田舎の描写やキャラクターの心理が良く表現されていて、とても読み入りやすいです!結末が楽しみです!

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