ギャルと花柄ビキニ

「おい徹」

「なんでしょう?」

「似合うか?」

「とっても」


 期末試験が終わり、ボクたちは市民プールへ。

 結愛さんは、花柄のヒモビキニでボクの前に。水を弾く素材のパーカーとロングパレオがあるとはえ、刺激的すぎる。

 かたやボクも、ラッシュガードと短パンを着ている。けれど、それは貧相な身体を見せたくないからだ。


「泳ぐぞー」

「いえーい」


 ボクではない声が、結愛さんの隣から聞こえてきた。


 見知らぬ女子中学生が、結愛さんと腕を組んでいる。こちらもギャルだが、結愛さんよりチャラい。


「徹の妹ちゃんの、お友だちだったな?」

「そうだよー。下柳しもやなぎ 麻桜まおでーす」


 栄子のお友だちって、下柳さんの妹だったのか。彼女は白ビキニである。結愛さんと違い、背が低くてスレンダーだ。


「ごめんなさい、兄さん。この子、言っても聞かなくて」


 栄子は謝る。控えめなセパレートの水着姿でありつつ、出るところは出ていた。

 ボクより背が高く、どちらが年上なのか他人にはわからないだろう。


 ちなみに、マオちゃんは学校では傍若無人すぎて「魔王ちゃん」と呼ばれているらしい。控えめな姉とは大違いである。


「いいのよ栄子さん。こうでもしないと、わたしと荘園そうえんさん仲良くできるきっかけなんてないんだから。妹と仲良くしてくれてありがとう」


 そういうのは、下柳姉の方だ。妹同様スレンダーというか、白ギャルでモデル体型である。

 いわゆる「脱いだらすごいタイプ」な感じ。


「まったくだ。これで俺たちも、名目上は『マオちゃんについてきただけ』ってことになるからな!」


 腕を組みながら、町田もうなずく。

 ボクたちの様子をうかがうきっかけが欲しかったんだな。


「あたしも、洋海ひろみちゃんと遊べてうれしいよ。これからはあたしのことも、下の名前で呼んでいいからな」

「ひ、洋海ちゃんって呼んでくれた!」


 下柳さんが、結愛さんに友だち認定してもらって感激した。


「ねーちゃん、ウチ言ったじゃん。ちゃんと向き合ったらわかってもらえるって」

「あなたは距離感が近すぎるのよ! わたしはあなたのように、人との壁を壊せないわ」

「慎重すぎたら、作れる友だちも作れないって。当たって砕けてみたらいいじゃん」

「あなたの言うとおりだったわね。人を必要以上に恐れないようにするわ」


 下柳姉妹が、友だち作りについて語り合う。


「だって、ウチがアドバイスしたら、幼なじみとも進展あったじゃん」


 え、今なんて?

 ボクが困惑していると、マオちゃんが町田に視線を送った。


「ねえ、町田さん?」

「あ、ああ」


 マジか。下柳さんと町田が、そういう関係だったとは。


「すごいじゃん。おめでと、洋海ちゃん」

「ありがとう。結愛ちゃんみたいに幸せになるわ!」

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