第33話

 定期試験を無事乗り越え、夏休みに入り、宿題を早々に終わらせた俺達は、明さんが所有しているプライベートビーチに訪れていた。

 今は別荘で水着に着替えており、一足先に着替え終えた俺は外で紅愛を待つことにした。


「おぉ……」


 人一人いない海というのは新鮮であり、思わず感嘆の声が漏れてしまう。

 砂浜に立てられたパラソルの下へ向かい、飲み物が入ったクーラーボックスを横に置いて敷かれているマットの上に腰を下ろす。


「広いなぁ……」


 一体どれほどの土地を買ったのだろうか。周りを走る車の音も聞こえないってことは相当な面積のはずだ。


「ごめんなさい、待たせてしまいましたか?」


 海を眺め、色々考えていると紅愛がやってきた。今回、紅愛が着ているのは黒いマイクロビキニ。必要最低限の部分しか隠せていないそれは、二人きりということを考慮しても露出度が高すぎると言わざるを得なかった。


「全然待ってないよ。俺もさっき来たとこだから」


 内心の動揺を覚られないように振る舞う。恋人の水着姿、それもマイクロビキニだ。興奮しない方がおかしかった。


「なら良かったです……ふふっ、そんなにお気に召したんですか?」


 あっさりと見破られた。


「うっ……すごく似合ってるから」

「うふふ、ありがとうございます。では正直者の蒼太くんにはこれを差し上げます」


 紅愛が小さな容器を差し出してくる。


「何それ?」

「日焼け止めです。どうしても背中は自分で塗れないので。お願いしてもよろしいですか?」

「うん、いいよ」


 日焼け止めの入った小さな容器を受け取ると、紅愛はマットの上にうつ伏せになり、背中で結ばれた水着の紐をほどいた。無防備に晒された真っ白な背中を見て、俺はごくりと唾を飲む。

 しかし、いつまでも見惚れている訳にはいかない。容器からぬるっとした白濁液を手に取り、一度深呼吸をしてから紅愛の背中に塗り広げていく。


「ひゃ…んっ……あんっ」


 艶かしい声が紅愛の口から漏れるが、予想はしていたので極力気にしないようにしながら、肩から腰にかけて日焼け止めを塗っていく。


「……ふぅ」


 背中を塗り終えて一息つく。背中はまだ我慢出来た。だが、ここからが問題だった。

 俺の目の前でデカデカとその存在を主張する紅愛の尻。ただ脂肪を蓄えただけの垂れ下がっただらしないものではなく、筋肉と脂肪が程よいバランスで保たれた、きちんと引き締まってツンと上を向いている真っ白美巨尻。

 予想外だったのは尻肉を隠すはずの布地が細すぎて尻の谷間に埋もれていることだ。ただでさえエロくて理性を保つのに精一杯なのに、食い込みという要素まで加わったら耐えるなんて不可能に決まっている。


「く、紅愛……後は自分で出来るよね?」


 俺は逃げの一手を打つ。折角海に来たのだし、俺は紅愛と遊びたいのだ。


「出来ますけど蒼太くんにやってほしいです……駄目ですか?」

「あっ、駄目じゃないです」

「ふふっ♡ではお願いします♡」


 ……上目遣いは卑怯だろう。しかし男である以上、二言はない。覚悟を決めるしかないのだ。


「すぅ…はぁ……」


 日焼け止めを手に取り、軽く突き出された尻に触れる。手が吸い付くような柔らかい感触、それでいて沈んだ指を押し返そうとする弾力性。気付けば俺は日焼け止めを塗るよりも紅愛の尻を揉むことに夢中になっていた。


「んぁぁ……♡もっとぉ…♡もっと強く揉んでください…♡♡」


 紅愛がこちらを振り向き、甘える様に言った。この瞬間、俺の中で理性は姿を消した。








「はぁ…やってしまった。紅愛、あそこで誘うのは駄目だよ」

「だって蒼太くんの触り方がエッチだったんですもん♡それより蒼太くん。日が暮れるまでまだ時間はありますし、少しだけ遊びませんか?」

「うん、遊ぼっか」


 互いの欲望を発散した俺達は遊ぶことにした。紅愛と一緒に海へ入る。海水の冷たさが火照った体にはちょうどよく、二人して深い息を吐く。


「ふぅ〜……気持ちいいですね」

「うん…あっ、そうだ。紅愛、こっち向いて」

「何ですか?きゃっ!」


 紅愛を振り向かせ、胸の辺りに水を掛ける。驚いた紅愛が可愛らしい悲鳴を上げる。


「もう!お返しです!」


 紅愛が両手で水を掬い、掛け返してくる。ただ、力加減を間違ったのか何なのかは分からないが、その水は俺の顔面に掛かった。


「ぶっ!?」

「あっ……」

「やったな?」

「わ、わざとじゃありません!」

「言い訳無用!待てー!」

「きゃー!」


 悲鳴を上げながら逃げる紅愛を追いかける。女の紅愛と男の俺、どちらの方が水中で早く走れるかは明らかだった。


「捕まえた」


 紅愛を後ろから抱きしめて捕まえる。


「よくも顔に掛けてくれたね」

「わざとじゃないですもん……」

「知ってる。だから怒ってないよ」

「本当ですか?なら……証明してください」


 紅愛が体の向きを変え、俺を見上げる。そして目を瞑った。何をしてほしいのか理解した俺は腰に回していた左手を上げ、紅愛の頬に添えてキスをした。


「……んっ、そろそろ戻りますか」

「そうだね」


 夕日が沈んでいく中、俺達は荷物を持って別荘へと戻った。



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最近暑いので皆さんも熱中症には気をつけてください。僕はこの前なりかけました。

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