第30話
短めです
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午後の部が始まっても白軍の快進撃は止まらなかった。順調に一位を獲得していった白軍のポイントは現在1040ポイント、2位とは160ポイントもの差がついていた。
そんな状況で迎えた最終種目、軍対抗リレー。各軍各学年から男女2名ずつ選出される体育祭で一番の盛り上がりを見せる種目だ。
「軍対抗リレーに参加する生徒はグラウンドに集まってください」
「よし、行くか」
「おう」
「いってらー」
俺達のクラスからは男子は俺と圭、女子は紅愛ともう一人、陸上部の芦田さんが参加する。なんで俺が出るのかって?それは俺が意外と足が速いからだ。こう見えて100m 12秒台と陸上部並に走れる。
「蒼太くんっ!」
圭と一緒に向かうと先にいた紅愛が満面の笑みで俺目掛けて走ってきて抱き着いた。後ろで一つにまとめた髪が揺れ、爽やかな柑橘系の香りが鼻腔をくすぐる。
「お昼ぶりですね。会いたかったです」
「俺もだよ」
ギュッと抱き着く紅愛を優しく抱き返す。この腕の中に収まる感じが最高。ずっと抱きしめていたい。だが体育祭の進行を遅らせる訳にはいかないのでハグも程々にして紅愛と離れる。紅愛もそれを分かっているのですんなりと離れてくれた。
「リレー頑張ろうね」
「はい!」
紅愛と手を振って別れる。紅愛は本部側で俺は反対側からのスタートだからだ。
列に並んで第一走者のじゃんけんを見守る。どうやら白軍は外からのスタートに決まったようだ。
「位置について、よーい……」
パンッ!
スターターピストルの音が鳴り、リレーが始まった。
「いけぇぇぇ!赤軍頑張れぇぇぇぇ!」
「うぉぉぉぉ!!黄軍負けるなぁぁ!抜けっ!抜けぇぇぇ!」
各軍の応援席から一斉に応援が聞こえてくる。しかし、どの軍も第一走者は足の速い男子であり、差が縮まらない状態で第二走者へとバトンが渡る。ここで引き続き男子が走る軍と女子に変わる軍で差が広がり始めた。
「走れぇぇぇ!抜かなくていいから差を広げるなぁぁぁぁ!!」
白軍は後者だ。一年の女子が必死に男子の後を追ったおかげでそこまで大きな差は出来ていないがそれでも後続の人は追い抜くのは大変だろう。第三、第四とどんどん進むが膠着状態が続く。そんな中でいよいよ紅愛の番が訪れる。バトンを受け取った紅愛は惚れ惚れするくらい綺麗な姿勢で走り出し、一人、二人と瞬く間に追い抜いて変わらなかった順位を上げていく。
「いいぞぉぉぉぉ!!いけぇぇぇぇぇぇ!!」
紅愛の活躍に白軍の応援席からは歓声が上がった。
紅愛が半分近く走ったところで立ち上がってコースに出る。白軍は現在2位なので内側から二番目のコースに入り、手のひらを上に向けて構える。そしてタイミングを合わせて前に進みながら紅愛からバトンを受け取る。
「はいっ!蒼太くん!」
「んっ」
紅愛からバトンを受け取ったら前に意識を向けて加速し始める。一位との距離は十数メートルといったところ。十分追い抜ける距離だ。徐々に移り変わる景色の速度が速くなる。それに比例して一位との距離も短くなっていく。追い抜くのに時間はかからなかった。追い抜いた瞬間、今日一番の歓声が白軍から聞こえてきた。俺は独走状態のまま次の人にバトンを渡し、コースから出て腰を下ろした。
結局白軍は一位でゴールした。これで白軍の優勝はほぼ確実だろう。先輩達の中にはまだ結果発表もされていないのに泣き出す人もいた。
そして結果発表の時、
「総合優勝は……白軍です」
「「「きゃあぁぁぁ!!」」」
「「「うおぉぉぉぉぉ!!」」」
白軍はパネル、応援、競技、それぞれの部で優勝し、文句なしの総合優勝を勝ち取った。それからそれぞれの部の準優勝の軍が賞状やらを受け取り、体育祭は終了した。
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