第12話塞ぎ込む杏美
翌日の10時過ぎ。
杏美の部屋の前で、どういった態度でいくか、考えて扉をノックするのを渋っていたが、ノックする俺。
「平塚だけどー。杏美、入って良いか?」
「......」
部屋から返事は聞こえず、物音すら聞こえない。
寝ているのか。それとも、ふて腐れているのか。
「入るぞー、お邪魔しまーす......って、何だよ部屋の散らかりようはっ!」
俺は、扉を開け部屋に入ったら、目にはいったのは漫画の週刊誌や漫画が床に散らばっていた。
飲みかけのペットボトルが乱雑に倒れてもいるし、お菓子の袋も投げ捨ててある。
紫夏見って、この部屋をみて片付けなかったのかよ。
俺は、足場をつくり、杏美のベッドまで近付いて、杏美に想いを伝える。
「杏美ー、杏美ー。杏美ちゃん、杏美さーん......悪かったよ、この前は。杏美の想いは伝わったし、嬉しいよ......この前も言ったように、嬉しいけどさ。それでも変わらないんだよ、俺の想いは。杏美が俺を好きで居続けるように。それは分かってほしいんだよ、杏美に。付き合うことは出来ないけど、今まで通りの関係なら続けられる。それが一番辛いことは、俺も分かるけどこれだけは、譲れないんだ。そんな俺を許してくれないかな......杏美」
「......」
部屋に沈黙が続くこと、10分が経過したところで、掛け布団の中から小さな声が聞こえた。
「......いの......かぁ」
俺は、はっきりと聞き取れず聞き返す。
「えっ、何か言った?」
「ばかあぁぁ、先輩のばかあっっ!」
泣き声ながらも、精一杯に叫ぶ杏美。
俺は、大声で泣き叫ぶ杏美を宥めることはせず、泣き止むまで、静かに見守ることにした。
杏美が泣き止んだのが30分後だった。
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