第2話

ホールの仕事にも慣れてきた頃、俺は女性客からの指名も入るようになってきていた。

最初こそ、ワインを上手くグラスに注げなかったり、

パスタの取り分けもうまくできずに苦労したが、二ヶ月もやれば、習うより慣れろじゃないけど、卒なくこなせるようになってた。


詰まるところ。




「テーブル担当、山吹くんがいいな」


「イケメンだし、心配りもできるし!」


みたいに言われ、俺は

接客も悪くないな、と思いながらホールの仕事に勤しんでいた。


しかし。


そんなある日の事だ。


俺はオーナーシェフにクビを言い渡された。


「お前さ、辞めてくれないか?」


「え、なんでですか?」


「上層部から言われたんだ。

売り上げが少ないのに、どうして従業員の頭数が揃っているんだ?と」


「人件費がかかるから削ってくれ、と」


「つまりな、この店で一番無能で役立たずなおまえを切ろうってことになったんだ」


「素直に受け入れてくれないか」



俺に対して。


突然出た辞令だった。








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