第6話 今の僕
大学の理系学部を卒業した僕は大手食品会社に就職した。今は商品企画部の主任になっている。就職した時は勝手が分からずに無我夢中で苦労したが、入社して7~8年にもなると業界の置かれている状況も把握して、無難に仕事をこなせるようになっている。
菜々恵がお見合いをしたころ、僕は丁度27歳で仕事を任されるようになって、恋愛などしている余裕がなかった。それで菜々恵の相談にあんな返答をしてしまった。彼女がお見合いに失敗したことを聞いて、それがずっと心のどこかに引っ掛かっていた。
菜々恵に「お見合いは止めて僕と付き合ってほしい」と言えばよかったと、しばらくは思ったりした。会えなくなるとなおさら思いが募るのかもしれない。もう時間は戻せなかった。
30歳になって主任になったこともあり、部下もついて仕事に余裕もできてきた。同期の中には結婚するものが増えてきて、女性を意識するようになってきた。
僕は菜々恵と会わなくなってから、他の女子と付き合う機会がないこともなかった。関連会社の女子とも付き合う機会があった。同期に誘われて合コンに参加もしてみた。ただ、気持ちを通じ合える気に入った女子には巡り会えずにいた。
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