異形の少女*🌺＊✰⋆*

第44話⁂弥生の過去！⁂

実は弥生は日本人の父親とタイ人の母親との間に生まれたハーフなのです。

父親が大手企業のエリ－トだったので達也との結婚には何の支障も無く無事に結婚出来たのですが、実は義母咲子の姪百合子とは同級生で家が近所という事もありよく遊んでいたのです。

弥生は小学生の頃はとにかく元気で外を駆け回るお転婆娘だったので年がら年中真っ黒に日焼けしたタイ人その者の女の子だったのです。

百合子とは家が近所でよく遊んでいたので、小学校に入学するや否や「あの真っ黒な目立つ子誰？」

上級生や同級生達に質問攻めにあったのです。

要するに真っ黒だけど小顔でスタイル抜群の弥生はそれだけ群を抜いて可愛い子だったのです。

そこで聞いてくる先輩達や同級生達に「日本人とタイ人とのハ－フだよ」と正直に言っていたのです。

まだ６歳なので何も分からずに事実を話していたのですが、この後弥生は散々な目に合うのです。

それはやはり異国感がたっぷり漂う弥生に拒否反応と言いますか？自分たちと違う者に対する反発でしょうか？差別でしょうか？

学年を追うごとに皆の言葉の暴力、いじめに悩まされる事になるのです。

「黒んぼ！タイ人近づくな————！」

弥生は6年間、表立った悪口、裏での陰口、差別、更には無視され続けたのです。

やはり日本人とは顔立ちも違いますし肌の色も黒いので目立ちます。

勿論あの時代の事ですから差別もありますが、やはり異国感がたっぷり漂う弥生に対する拒否反応が大きかったのです。

そして自分達とは掛け離れたモデルのようなスタイルと完璧な、まるで彫刻のように彫りの深い端正なルックスに嫉妬しての行為だったのです。

弥生と百合子は小中高ず～っと一緒の学校に通っていたのですが、中学生頃から弥生にはファンクラブが出来るほどの人気者になって来ていたのです。

「誰～！あのスタイル抜群の綺麗な子！」

「本当に可愛い子だな～！」

「オオオ～！われらの女神様！」

「いつも一緒にいる子冴えね～な！」

「あれじゃ～！タダの引き立て役！」

百合子は典型的な日本人体系、顔も決して綺麗じゃ無い地味な普通の女の子。

それでも中学1年生の時に、席が隣という事もあって妙に話し掛けてくれる男の子純也が居たのです。

スポ－ツ万能な純也にいつしか恋心が芽生え帰りは一緒に帰る事も度々。

そんな淡い初恋に胸躍る日々、百合子は毎日が夢心地です。

ですが、そんなある日淡い初恋も一瞬で吹き飛んでしまう衝撃的な一言が純也の口から発せられたのです。

「俺さ～！以前から百合子がいつも一緒に学校に通っている女の子の事が気になっているんだよ～今度3人で富士急ハイランドに行かないか？」

””ガ————ン！””

百合子は打ちのめされ、凄いショックを受けます。

｛今まで私に話し掛けてくれていたのは、弥生の事を誘い出したい為に近づいていただけなのね、クラス一の人気者が何故？とは思っていたけど？やっぱりそういう事だったのね？お友達からも何故アンタ～？とよく言われていたけどこれでやっと分かった！｝

百合子は【竹馬の友】弥生をいつしか只の私の幸せを奪う悪魔にしか感じなくなって来ています。

｛いつだって私が好きになる男の子達は、弥生を紹介して欲しい為だけに近づいて来る窓口。私は只の引き立て役。酷すぎる！｝

いつも弥生のせいで貧乏くじを引く羽目になる弥生をどうしても許せなかった百合子は、高校生２年のある日とんでもない事を思い付くのです。

丁度その頃、同じクラスだったケバい女の子が偶然隣の席になったのです。

休憩時間やホームル－ムの時間に隣のクラスからも集まって来て何やら話し合っています。

聞き耳を立てて聞いていると？何か男の子の話で持ち切りです。

そういう不良っぽい女の子達はやはり類は友を呼ぶと言って同じようなケバい子達ばかりです。

｛どこの暴走族がカッコイイだの、レディース総長に声を掛けられた｝だのと何とも恐ろしい話ばかりなのです。

又その子達かなり親に不満があるらしくチーマー《集団で徒党を組み街でたむろする反社会集団。主に恐喝、窃盗、暴力、強姦などの反社会的行為を行う》まがいらしいのです。

でもみんな良いとこのお嬢様なんだけど？？？

きっと人には言えない問題を抱えているのでしょうね～？

幾ら家がお金持ちでも、それに余りある不満が有りチーマ－になっているこの子達は親には口が腐っても「お金チョウダイ！」とは言えないのです。

そこで百合子は日頃は親から見れば手の掛からない模範的な娘。

それを利用して「英会話の学校に友達と通いたいの！直接外国人講師から指導して貰えるから入学金が高額だけど通いたい！」と懇願したのです。

そして５０万円をゲットしたのです。

隣の席のケバい加奈子とはもう何でも話せる中になっていた、ある日等々「あのさ～私の相談にのってくれない？」

「何よ？言ってごらん！」

「私の友達弥生には日頃からかなり不満があるの。何とかヤッツケテくれない！かなり酷い手口でやっつけて欲しいのよ！お金５０万円払うから！」

「任せときな！丁度今、金欠なのよ！」

ある日、百合子は弥生を誘って人気の少ない倉庫に連れて行きます。

「百合ちゃん良いものが有るって言ったから付いて来たけど一体ここは何処？」

そこにレディース総長とその他のレディース達が現れたのです。

総長は学年一の美少女弥生を見るや否やニヤリと含み笑いを浮かべます。

｛これは懇意にしているやくざの組長に渡したら褒美がもらえる｝

暴走族の中には少なからずヤクザの世界に入って行く連中もいるのです。

レディース総長のケイはかなりの美人、その為白川組の白川組長に目を付けられ愛人にさせられているのです。

《暴走族理念》

【19５0~１９６０年代頃から富裕層中心に当時まだ高価だったオ－トバイを乗り回す若者集団が後に暴走族となった。

それだけストレスを抱えているのです。

抑え込もうとする教育により人間の深層心理が当然の如く発揮されただけ。

みんな賢いロボットにはならへん人間だもの

当時は当たり前に沢山いたのです。

当時は社会のルールを勝手に決めるな、勝手に支配するな、という反骨心からでしょう。

本当うるさくて迷惑でしたが

１９８０年前後当時は湘南の海沿いに現れるとバイクのマフラーを改造して、けたたましい爆音を響かせながら1時間は鳴りやまなかったくらい多かったのです】

自分の身の安全と資金援助、更にはレディース存続の為に色々便宜を図って貰っています。

更にはこんな美人を白川組長に渡せば利用価値は無限にあります。

ヤクザの資金源、水商売には持って来いの美人。

キャバクラ、ソープランド、ファッションマッサ－ジetc

17歳の弥生では絶対ダメでしょう。

淫行条例に引っ掛かりますから？

イエイエまだこの当時は有耶無耶だったのです。

今現在は絶対にダメです。

百合子は「お願いします！」と一こと言って足早にその場を去ります。

するとレディース達が弥生の両脇を抱えて車に無理矢理乗せます。

「キャ—————ッ！何をするんですか？」

そして厳重な門構えの立派な豪邸の前で自動シャッターと共に車はその豪邸に入って行きます。

引きずられて立派な豪邸の応接室に運ばれた弥生は、ぎら付いた目の、いやらしい油ぎった、いかにも極道の世界にどっぷりと浸かった凄みのある白川組長に顔をギュ～ッと持ち上げられます。

「オオオオオオ————！これは美しい！年は幾つだ！」

弥生は恐怖のあまり声になりません。只々怖くて！怖くて！泣くばかりなのです。

「カカッカ返してください。お願いです。;つД｀)シクシク！」

「お嬢ちゃん大丈夫だよ！安心して～！」

「歳は幾つだね？」

「1７歳です」

「オイ皆下がれ！」

「素人の未成年のお嬢さんに変な真似はしない！だがな～？只で返す訳にはいかない！それはお嬢ちゃんがあまりにも美し過ぎるからだ！こんな綺麗な娘を拝まなくて死んでいくのは余りにも惜しい！私をメイドの土産に一度だけ拝ませてくれ！」

そして障子を開けるとそこにはベッドが。

「キャ————！ヤッ止めて下さい！」

白川組長はまるで最高級の豪華ディナ―に有り付けた獣のように弥生に飛び付き、むしゃぼり尽くします。

「お嬢ちゃん今日の事を誰かにバラしたら家族諸共殺してやるからな！分かったな！」

そして舎弟に「オイこのお嬢さんを駅まで送ってやれ！」

この舎弟2人組、レディース総長から「たっぷり可愛がってやって！思い切りオモチャにしてやって！友達に酷い事をするとんでもない娘らしいから？」と言われていたので美味しい仕事に有り付けた２人は夜の公園で代わりばんこに、泣き叫ぶのも聞かずに弥生をいたぶり、挙句の果てにはあまり泣き叫ぶので口にガムテープを張り付け、犯し続けたのです。

それでも組長からちゃんと送り届けるようにと、釘をを刺されていたので駅まで送り届けます。

家に行き付くことが出来ましたが、弥生の傷は相当深く一時は思い詰めて自殺まで考えた程だったのです。

本当に酷い事を！

組長も、ちゃんとした家のお嬢さんを拉致して風俗に送り込む事などしません。

いつ足が付くやも知れません。

組を構えている組長がそんな危ない橋を渡るような事をしたら大変です。

それでも幾ら命拾いしたと言えどあんまりです。

実は何故？弥生は高校３年生の時にわざと廊下伝いに山城家の庭に出たのかと申しますと、あの憎い百合子がもう喧嘩別れしているにも拘らず一度だけ思い余って電話して来た事が有ったのです。

それは血の繋がらない従兄｛陽介の現状をどうしても教えて欲しい！｝という事なのです。

親戚の法事やお墓参りで顔を合わせて以来一方的に好意を寄せているのです。

親戚なので一緒に食事に行ったりしていたのですが、最近山城家に赴いても達也だけは顔を出してくれますが、陽介は百合子がいるにも拘らず顔も出さないのです。

又電話を掛けても居留守ばかり。

思い余った百合子は弥生のお母さんが山城産婦人科に入院している事は知っていましたから、あんな事件が有ったのに虫の良い話とは思いましたが、居ても立っても居られず弥生に電話をして来たのです。

「ハ～イ様子だけ見て来るから？迷惑ね～！」

「本当にごめんなさいね！」

百合子はあの時、チーマ－の加奈子に「弥生を痛い目に合わせて！」

とは言いましたが、あそこまで酷い事をするなど努々思っても見なかったのです。

そして弥生の復讐が始まるのです。

「私がどんな酷い目に合ったと思っているの許せない！今に見てらっしゃい？こんな恥ずかしい話、人にも言えない！私がどんなに苦しんだと思っているの？」

じゃ～？今までの恋愛劇は最初から計画的だったって事？