第24話⁂陽介と貴理子の離婚⁂


あの日のカーセックスの日以来、貴理子の様子が変です。

目がキラキラ輝き、まるで大切な宝物を見つけた童女のようにウキウキと、それはまるで以前とは全く別人格のようになっています。


それと言うのもあの若い木村とあれ以来、頻繫に陽介の多忙な事を良い事に隠れての蜜月の日々が続いています。

木村の実家やホテルなどで陽介の目を盗んでの密会の日々。


それで飽き足らず、木村は昼休みのほんのわずかな時間にまで求めてくるようになって来ているのです。


若いとはこういう事です。

血気盛んな木村は我慢が出来ません。

わずかな時間でも貴理子を求めるのです。


封鎖された病室でカーテン越しに、又滅多に人が入らないトイレでのほんのわずかな時間にまで2人は隠れて欲望のままに激しいセックスを楽しんでいます。


貴理子はこれを真実の愛だと信じて疑う余地など有りません。

{私を愛しているからこそ、こんなにまで求めてくれるのね。私だってこんな幸せな時間はないわ!求めに応じれるだけ応じれば今度こそ木村を繋ぎ止めれる!}


木村の野望とは裏腹に、すっかり木村の虜になってしまった貴理子は1997年6月の大雨の日に陽介と離婚したのです。

陽介と貴理子の結婚生活の怨恨を洗い流すかのようなそんな大雨の日に2人は別れたのです。


離婚の条件には次のような条件が貴理子から突き付けられました。


遥斗の親権は貴理子が持つ。

内科副院長には木村輝樹。

産婦人科の副院長には今まで通り貴理子が。

そして多額の慰謝料を手にした木村と貴理子はその半年後に無事ゴールインしたのです。

街中が色とりどりの電飾のイルミネーションでキラキラ輝き、それはそれは美しい幻想的で神秘的な世界に彩られたクリスマスイブの日に2人は晴れて夫婦となったのです。


一方の達也は40歳でやっと授かったまな娘の樹里亜が可愛くて可愛くて仕方がありません。もうメロメロ!


ですが?その一方で???

「それでもあれだけ俺の目を盗んで……?ひょっとして陽介と弥生の子供と言う事も考えられる、DNA鑑定をして貰わないと?」

こんな不安な状況を打破したかった達也は法科学鑑定研究所に依頼したのです。


すると99,9999978パ-セントの確率で達也の子であることが立証されたのです。


不安も解消された達也は一安心!

子供の事では満足した達也の欲望は一層弥生に向かいます。


人間の欲とは底知れぬもの{俺を本当に愛してくれる弥生を作り出そう}と時間が空けばクロ―ン人間作りに必死に着手しています。




「フフフフフフフ上手く騙したな~!」


「本当に!」



樹里亜が生まれた8ヶ月のちの1999年2月真夜中の極寒の東京。


精神に異常をきたしたのか?もう遥か以前から異変をきたしていたのか?


「ああああああああ!眠れないああ~!どうした事だ?気が狂いそうだ————!」

真夜中に裸で外に飛び出した達也。


「木村お前が許せない!お前と言う奴は————!」












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