ピザ基金

@sunny-side_up

第1話

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まだ高い。まだまだ高い。

オムロンの血圧計を睨みながら、スマホのアプリにデータを送る。あまり睨んではいけない、心配してはいけない、それでまた血圧が上がるだろう。深呼吸して、落ち着こう。

クリスマスの夜、ケーキを食べ、ローストチキンを頬張っているところに届いた書留はサンタ・クロースからの幸せの贈り物ではなく、血圧要受診の健康診断の通知だった。食事中のチキンを捨て、翌日、仕事納めのかかりつけ医に慌しく受診し、ウォーキングとダイエットを始めた。

3キロのウォーキングコースをぐるりと歩いてもこれで足りるとは思えず、とりあえずもう一周歩いたが、ご飯は喉を通らず、野菜ばかりを無理に食べる。生野菜は大量の千切りキャベツでお腹いっぱいになり、胃のあたりがゴワゴワしてくる。

年始に再度受診し、医師からタンパク質、炭水化物も必要不可欠な栄養だと注意を受けた。

タンパク質を摂らなければ、筋肉が衰え大変なことになる。炭水化物は脳に栄養を与えるものだから、極端に摂取量が少ないと脳に悪影響を及ぼして今度は認知症の心配も出てくる。睡眠は脳の活動にとって極めて重要なものだから、夜ご飯にもある程度は炭水化物を摂っておかなければならない。

以降は週に1キロペースで緩やかに着実に減量し続けている。

とはいえ、この十数年、ストレスに比例して体重だけが増え続けてきたので、先は長い。

結婚して15年、贅肉以外に一体何がプラスに転じただろう。結婚で得られたものは何かあっただろうか?

人生のハズレゲーム、ストレスフル。

ハズレの拠点から離れるという意味もあったのだろう。ウォーキングには、単なる有酸素運動以上のストレスの解放効果があった。



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