第6話 この度、メイドになりまして!

 △


 前世の私は退屈な人間だった。

 過去のトラウマから友達もいない私にとってはサンブレだけが毎日の楽しみで、生きるための最小限以外はゲームをするか関連するものを見てばかりだった。


 私の推しキャラは何を隠そう、悪役令嬢の「白清水 凛后」様!

 傲慢で不遜なキャラだけど、その凛々しく美しい姿と精神に一目惚れしてしまった。

 それは私だけの話ではなく実際に彼女は人気が高かった。彼女を題材にした二次創作も盛んに作られていて、私も楽しませてもらったものだ。


 仕事から帰っては最低限の家事を済ませて、残りはサンブレに捧げる毎日。休日も碌に外に出ず、コミュニケーションも職場を覗けば二次創作に感想を書き込む位。満ち足りてるとは言いがたい生活だったけど、少なくとも私は幸せだった。


 そしてある日、サンブレに待望の大型アップデートが実地されることが決まった。没になった隠し攻略対象の実装が発表され、私は期待で胸をいっぱいにアップデートを心待ちにしていた。


 もしかしたら悲劇の結末しかない凛后様に、救いが訪れるのではないかと思いながら。

 そして迎えたアップデートの日、心を弾ませて帰路を急ぐ私に一本の電話が入った。


 私にトラウマを植え付けた家族からの、家を出てから初めての着信。

 急速に両親の姿と傷つけられた経験が思い起こされ、スマホを持つ手が震えだす。

 口を開けば私を罵る母、何かあるたびに私に暴行を加える父。二人過ごした日々は私の人格を容易く歪めて、心と身体に決して消えない傷を刻み込んだ。

 存在を否定され、努力を否定され、性別を否定され、人を信じる心の悉くを無くしてしまった。


 そんな家族からの久しぶりの着信。スマホ持つ手は震えるばかりで、結局電話には出ることが出来なかった。とっくに切れたスマホが恐ろしくて仕方なくて、謝罪と恐怖の言葉が心埋め尽くしている。




ごめんなさいたたかないでゆるしてくださいもうかえしてすいませんでしたぼくはおとこなのにごめんなさいここをあけてゆるしてくださいそんなことしてないすいませんでしたそこはやめてごめんなさいうでをやかないですいませんでしたふくをきさせてゆるしてくださいそんなめでみないでゆるしてくださいおなかがすいたごめんなさいいきができないすいませんでしたそこはやめてゆるしてくださいぼくをみてごめんなさいはなれていかないでゆるしてくださいあのひにもどしてごめんなさい


ごめんなさいおかあさんごめんなさいおとうさんごめんなさいくらすのみんなごめんなさいうまれてきて




「ごめん…なさい…」


 全てを否定されるような感覚を自分自身で作り出して、ついさっきの楽しげな様子等忘れて何処へとも無く歩いていく。雨が降っても歩き続けて、知らない路地裏に足を踏み入れ。


 そうして絶望なんて抱いていたから、本当に悲劇に出会ってしまった。

 気付けばアスファルトに横たわって、お腹の傷からは夥しい量の血が流れだしていた。顔に打ち付ける雨を感じながら、まるで凛后様みたいな終わり方だと暢気に考え、寒さの中で意識を失っていった。




 これがあの時、私がお姉様の胸の中で思い出した前世の記憶。自分のことについては殆どの事を思い出したが、ゲームについては曖昧な部分がまだ多い。


 確かなのは、お姉様があのゲームの悪役令嬢であることと、最後には悲劇的な結末を迎えるということ。


 私は彼女のために何が出来るだろうか。どうすれば悲劇を回避できるだろうか。

 答えは出ない。未来に訪れる結末を、実際に迎えて見なければ。それがハッピーエンドだろうと、バッドエンドだろうと。


 結局今は出来ることやっていくしかない。

 彼女がゲームのような性格にならないように、いっぱいの愛を届けるのだ。彼女が笑っていられるこの屋敷を私も守り、どんな時でも笑顔でおかえりを言えるように。




 そうして明確な打開策は得られぬまま、穏やかな日々が過ぎていく。


 気が付けば、私がメイドになってから数年の月日が経過していた。


 ▽












 メイドの教育が始まってから早数年、私は十一歳になっていた。当初は着られていた様なメイド服もすっかり馴染み、仕事ぶりだってみんなに認められる一人前のメイドさんだ。


 背も伸び髪も伸び口調も変えてあの頃とは大違い。だけど前世から続く厄介な性格は早々変わらず、まだまだ内気で人と接するのは得意じゃない。学校でも友達は少ないけれど、虐めも無いし家族が居るから気にならない。


 あの日の決意の通りに、私なりに頑張れているはず!

 そんな私の一日が、今日も始まる。







 白清水家の朝は早い。


 朝は日が昇る頃には目を覚ます。まだぼんやりと眠たげな眼を擦り、遅れたらメイド長に怒られちゃう!なんて考えながら顔を洗って髪を結んでメイド服にお着替え。


 準備が出来たらメイド長にご挨拶。そしたらすぐさまお屋敷を回り、カーテンを開けたり換気をしたり新たな一日が始まったことをお屋敷中にお知らせする。

 まだまだ小柄な私じゃ大変だからつい時間がかかり、大きなお屋敷を回り終える頃には皆が起きてくる時間だ。




 時刻は六時。私はお姉様を起こす担当なので、その穏やかな寝顔を確認しながらおはようのご挨拶。


「おはようございますお姉様。今日も雲ひとつ無い良いお天気ですよ!」


「ふぁ~あ。んっ、おはよう鏡花」


 寝起きが良いお姉様は欠伸一つでパッチリと目が覚めたみたいで、いそいそと朝の準備に向かうみたいだ。部屋が私一人のうちにシーツを取り替え窓を全開、お部屋の空気を入れ替えておく。本当はこんなお世話も必要ないって言われてるけど、少しでも役に立ちたくてついついやってしまう。


 お姉様が戻ってくれば、髪のセットをお手伝い。最近一段と長くなった赤く波打つ髪は一人では梳かすのも一苦労なのか、喜んで私にお願いしてくれる。楽しくなって鼻歌なんて歌いそうになりながら、一本一本を慈しむように梳かしていく。


「ふふふ~ん♪ふふふ~ん♪ふ~んふんふん~♪」


「鼻歌なんか歌って、髪を弄るのがそんなに楽しい?」


「あ、えへへ。こんなに素敵な髪に触れて、嬉しくない人はいませんよ」


 あらら、結局我慢できず歌ってたか。


「そう。鏡花のその髪形も、とっても似合ってて可愛らしい」


「そ、そうかな?面倒だからこうしてるだけなんですけどね……。でも、ありがとうございます」


 そう、メイドとしての教育が始まってからは、今までのストレートをやめて、一つ縛りで前に垂らすように変えた。元々の髪質がふわふわしてる私は、少し動くと髪が煩わしくなってしまうのだ。切ることも考えたのだが、それはもう周りに考え直すよう言われてしまった(特にお父様に)ことから、この髪型に落ち着いた。大人びて見える気がして、意外とお気に入りの髪型だ。




 穏やかな二人の時間が終われば朝食の用意だ。白清水家の朝食は皆で用意するのが決まりで、時間に余裕があればお父様だってお手伝いしてくれる。初めの頃は慣れない調理に四苦八苦していたけれど、今では誰よりも料理好きだ。


 皆で手早く準備を済ませて、三人で朝食を取る。本来使用人は片付けの後、お父様達が食べ終わった後に食事なのだが、私は学校もあるしメイドとはいえ白清水の人間ということで、家族と一緒に朝食を取るのだ。


 今日の朝食は和食。白米、お味噌汁、メイド長お手製の漬物におかずが数点で、素材が良いのかシンプルなのに非常においしそうに見える。

 くぅっ……と空腹からかお腹から聞こえてきて、待ちきれない思いを抑えながら席に着く。


「それでは早速、いただきます」


「「いただきます」」


 お父様の声を合図に私達も食材への感謝を口にし、お姉様の卵焼きを一口。とろりとした感触と優しさを織り込んだような甘さが口に広がり、思わず口元が緩んで声が漏れる。心底美味しそうにする私の顔が面白いのか、二人は可笑しそうに目を細めながら食事を進めている。

 口数少なく食事は進むものの、その柔らかな静寂は嫌いじゃなくて、気付けばぺろりと食べ終えていた。


 軽く食器を片付けて部屋に戻れば、お次は学校に行く為の準備。やはりゲームの世界だからか、やたらと可愛らしくてコスプレ染みた制服に身を包み、前日から準備済みの荷物を背負って玄関へ。


 丁度通いの使用人達が仕事を始めだす時間で、洗濯や掃除にお庭の管理をする姿が目に入る。すれ違う人に朝の挨拶をすると、「いってらっしゃい」「いってらっしゃいませ」「お気をつけて」なんて声を掛けられながら玄関までの道のりを歩く。


 汚れは無いかな?買い換える物は無いかな?なんて考えていれば玄関なんてすぐだ。靴を履いて扉を開けば、すでに準備を済ませていたお姉様がメイド長と談笑していた。

 私に気が付くと談笑もそこそこに、出発の挨拶を交わす。


「「いってきます、茨沢さん(メイド長)!」」


「凛后お嬢様、鏡花お嬢様、お気をつけていってらっしゃいませ」


 メイド長の惚れ惚れするようなお辞儀を背に受け送迎用の車に乗り込めば、平日朝のお勤めは完全に終了。


 メイドのお仕事は帰ってくるまでお預けだ。







 午後四時頃、習い事のあるお姉様とは別に私は一人で帰宅する。そのまま部屋に直行するとまたメイド服に着替え午後のお仕事の準備だ。


 メイドの仕事の中でも殆どを占めるお屋敷の掃除は、午後には殆ど終わっているため私が出来るのはそれ以外。夕食や入浴の準備が殆どで意外と仕事は少ないものだから、急な来客が無い限りはのんびりしたものだ。

 やる気を出して励んだものの浴室の掃除を手伝うくらいしか仕事も無く、時々カーテンを閉めたりすることはあってもお姉様が帰宅するまで休んでる時間のが多かった。




 午後六時には通いの使用人達も仕事を終えて帰宅し、屋敷の中は静かなものだ。少し寂しくも感じながらメイド長と過ごしていると、お姉様が帰ってきたみたいでお出迎えに向かう。


「お帰りなさいお姉様」


「お帰りなさいませ、凛后お嬢様」


 帰宅したお姉様は履物を取り替え、私たちの方を振り向く。少し疲れて見えるが心地よい疲労なのか、その顔に辛そうな部分は見られない。

 荷物を受け取ろうとするもひょいと避けられ、両手は空気を掴むばかり。疑問と困惑から口を開くよりも先にお姉様が話し出す。


「ええ、ただいま。お父様は今日も忙しそう?」


「今日もお仕事が立て込んでいるようで、先程遅くなるから夕食はいらないとご連絡をいただきました」


 その言葉を聞くなり私ににっこりと笑いかけ、顔を寄せる。こういう時は決まって唐突な提案で私を困らせるものだ。


「そう、なら先にお風呂に入りましょうか。鏡花、忙しくないなら一緒に入りましょう?」


「え? あっはい。って一緒に!?」


 話が終わると「じゃあまた後で!」なんて言いながらお姉様は自室へと向かって歩いていく。いきなりの提案に少しの間硬直していると、となりのメイド長からの圧が感じられて背筋が伸びる。このままここに居れば何を言われるかわからないと、そそくさと逃げるようにお風呂の準備へ。


 白清水家のお風呂はシンプルながら確かな高級感が感じられ大きい。軽く五人は入れそうなもので、毎度のことながら大きさに関心しつつお湯を張り、お高そうなバスミルクを混ぜればいつものお風呂の完成だ。

 白清水家伝統のこのバスミルクは海外から仕入れている特注品らしくて、これを混ぜて入浴すれば化粧品要らずになるほどの優れものだ。我が家が誇る美人の秘訣は、こんなところに隠されている。


 マットやタオル等の細々とした物を準備し、自分の着替えを持ってお姉様の部屋へ。ノックをすれば軽い返事と共に準備万端と言いたげなお姉様が顔を見せ、急かすようにお風呂へと足を向ける。久しぶりの姉妹での入浴に、浮かれ気分なのは仕方ないだろう。




 脱衣所に響く衣擦れの音に、私鏡花は緊張していた。確かに幼い頃は良く一緒に入浴したものだが、最近はトンとご無沙汰だったこともあり、あの頃と違って男としての記憶もある私にはここ数年で一気に大人びたお姉様の姿は目に毒だ。


「今日ね、クラスメイトに言われたのよ。仲のいい姉妹はお風呂も一緒なのが当然何ですって」


「あっ、うん」


「それでね、どうせ何時もの妄想でしょう?って返したんだけど、そういえば鏡花と一緒に入るのも最近はご無沙汰だなって思い出してね。丁度良いし今日一緒しましょうって考えたんだけど……」


「あっ、うん」


「なんだか上の空みたいね。先に入ってるから急いで来てちょうだいね」


 結局浴室に入るまで話しかけられても曖昧で短い返事しか出来ず、一度もお姉様の方を見ることは出来なかった。


 身体を洗い綺麗にしてからお姉様と並ぶように浴槽の中へ入る。一日の疲れと緊張とが溶ける様に和らぎ、やっと一息つく事が出来る。


 改めてお姉様の身体を観察する。長い首、膨らんだ胸、括れた腰、普段の様子を見るにお尻も見事な形だった筈だし、12歳というにはあまりに妖艶なその肢体は、同性の目から見てもどきどきしてしまう。それに比べて私のなんと貧相なことか…いや、まだまだ成長の余地はあるはず。姉とのギャップに沈みかけるも、お姉様の顔を見た瞬間驚愕する。


 顔が、顔が綺麗過ぎるっ!常日頃から絶世の美少女だとは思っていたが、この瞬間は段違いだ。上気したように頬を染めリラックスして緩む表情がセクシーで、少し潤んだ瞳が心を捉えて離してくれない!


(うわぁ…お姉様いけませんお姉様!そんな姿を見せられたら誰もが心奪われてしまいます!?顔が、顔が良すぎるぅ!)


 内なる自分は大暴れなくせして、実際の私はお姉様に釘付けだ。あわあわと目が離せないでいると流石に気付いたのか、小悪魔的な笑みを浮かべて近づいてくる。


「そんなにじっと見つめてどうしたの? 久しぶりに一緒だから恥ずかしくなった?」


「――ッ!な、なんでもない! ちょっとお姉様と比べて貧相だなと考えてただけで……」


 急に顔を向けるなんて、お姉様反則です!すぐさま顔を背けて高鳴る鼓動を鎮めようとするも、沸騰したような気持ちは押さえが効かない。


「くすくす、そんなこと気にしてたの? まだ子供なんだから気にすること無いのに」


「で、でもお姉様はそんなにも大人っぽいですから、私も羨ましくなっちゃいます……!」


「もう、本当に気にすること無いのよ?それに……」


 なに?お姉様の手が突然胸元に伸びてきて……。


「鏡花も十分育ってきてるじゃない。(ふにゅんっ)」


「ぴぃっ!?……………………きゅぅ……」


「えっ嘘気絶してる!? ちょっと鏡花しっかりして、少し胸を触られたくらいでそんなに! あーもう、こんなのバレたら絶対茨沢さんに叱られるちゃうじゃなぁい! お願い鏡花ぁ! 目を覚ましなさぁいっ!!!」







 午前八時ごろ、私たちは気まずげに食卓に付いている。なんでって?目の前の茨沢さんがすこぶる不機嫌だからだ。あの後脱衣所で横になってる姿を発見され、静かな雷が私たち姉妹に落とされた。のぼせるほど入ってるなだとか、自分の体調ぐらい把握しろだとか、まぁねちねちと言われた訳だ。


 私が倒れたりしたせいで今日の夕食の用意を任せきりにしてしまったのだから、その怒りも一入なのだろう。理由が理由なだけに、この気まずさも甘んじて受け入れよう。


 白清水家の夕食は基本私とお姉様、茨沢さんの三人で用意する。お父様は大抵夕食の時間よりも遅く帰宅するし、他に住み込みの人もいないため自然と三人で用意するようになった。

 初めの頃茨沢さんは恐れ多いなんて言って頑なに断っていたけれど、お姉様の無言の威圧と私の涙目攻撃(無意識)にとうとう折れて、今みたいに一緒に食べるようになったのだ。

 私とお姉様にとってメイド長は家族みたいなものだから、その時は心が近づいたように嬉しかったのを覚えている。


 そんな茨沢さん手作りの今日の献立はハッシュドビーフとサラダ。本当はビーフシチューと他に数点作るつもりだったのが、私たちが使い物にならないからと急遽変更したらしい。だから中に入るお肉はゴロゴロと大きかったし本来入らないような野菜も含まれていた。


 もちろん味は絶品……だったと思うのだが、気まずさに若干味がわからなかったのも事実だ。今度から食事の用意は必ず忘れないように誓い、姉妹揃ってそそくさと食器を片付けるのだった




 片付けが終わり食後の一杯で落ち着けば、メイド長の気持ちも落ち着いたようで皆で談笑の時間。テレビの音をBGMに二人はコーヒーを、私はミルクティーをゆっくり味わう。今日は誰がミスしたとか、今日は何を学んだとか、他愛の無いことを喋りながら緩やかに時間を楽しむ。


「鏡花は学校どう?困ってることは無い?」


「うん、勉強も大丈夫だし、友達も出来ましたし」


 お姉様の言葉に学校での自分を思い浮かべる。前世もあって学業は問題ないが、人間関係は褒められた物ではない。唯一の友達が学校にいなければ、休み時間は突っ伏して過ごす様な立派な一人ぼっちの完成だ。まぁ言ったとおり友達もいるし虐めも無いのだから、心配する事はないだろう。


「そっか、なんとも無いなら一安心ね。鏡花は少し恥ずかしがりやだから、いつも心配になっちゃう」


「流石に心配し過ぎです。昔みたいな泣き虫は卒業したんだからっ」


「ふふっ。ムキになって言葉使い変わってるうちは、説得力無いでしょう?」


「うぐぅ……」


 揶揄われたり、いじけたり。カップの最後の一口が名残惜しくなるほど、その優しい時間は心地よい空気に包まれていた。




 午後10時ごろ、明日の準備をしながら就寝の準備。翌日が休日だったりすると、お姉様と一緒に寝たりするけど平日は基本一人。予習をしたり復習をしたり、今日見つけたお屋敷の気になった点を考えていると、じんわりと眠気が意識にもたれかかって来る。


 歯を磨きに化粧室に向かうと、お姉様とばったり遭遇。磨き終えてふらふらと歩いているとそっと手を握られて、幼子みたいに手を引かれる。なんだかお母様みたいだな、なんてぼんやりと考えてると部屋に着いてたみたいで、「おやすみ」と交わしてベッドの中へ。


 手が離れるのは少しだけ寂しいけれど、次に繋がる事がより嬉しくなるから名残惜しくとも我慢できる。


 明日はどんな日になるかな?明日はお姉様と何を話そうかな?

 お父様の帰宅を遠くに感じながら、少しずつまどろむ。


 こうして「白清水 鏡花」の一日は終わりを迎えて、また朝日と共に始まる。


 白清水家のありふれた日常の1ページのお話だ。



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