アレイグル失脚する!

 アレイグルは非常に不味い事態となっていた。

 何せ教会の目玉商品を失った。

 そこでアレイグルは考える。



 「ちっ仕方が無い。こうなったらリーファにはアクアラプラスで頑張って貰うとするか。幸い名に傷が付いたのは国王とホーリーナイトだけ。儂には多数の信者とリーファがおる。教会の知名度を上げてくれれば何でもいいんだ」



 ブツブツと独り言を呟くアレイグル。

 そんな時扉からノック音が聞こえた。



 「入れ」

 「失礼します」

 


 丁寧なノック音と共に入って来たのはリーファだ。

 アレイグルは胡散臭い満面の笑みでリーファへと対応する。



 「リーファよ。先は悪かったな。儂が間違っておった。今後はアクアラプラスで頑張るといい」

 「はいそうさせて貰います。ですが今日はその件ではありません」

 「うん? ではどういう用件だ?」

 


 アレイグルは首を大きく傾げた。

 まさかこれから自分の悪事が暴かれるだろうとは微塵にも思っていなかった。



 「国から運営費として多額のお金を頂いていますよねそれはどこに?」

 「それは教会の為に使っておるに決まっているだろうが。何を馬鹿な事を言っておる」

 「では信者からの寄付金は何処に?」

 「さっきから何を言っておる! 貴様は何が言いたいのだ!」



 激昂して机を叩くアレイグル。

 リーファは一切物怖じせず淡々と追い詰めるように話す。



 「聞きましたよ。アレイグルさんの羽振りの良さ。教会の貧しさ」



 リーファの言葉にアレイグルの眉がピクリと動いた。



 「色々調べあげました。その結果私をホーリーナイトに加入させるために多額の賄賂を国王から受け取ったそうですね。それに運営資金、寄付金、殆どを私腹を肥やすために使っているそうじゃないですか。これは一体どういう事ですか?」

 「き、貴様、そ、それをど、どこで!?」

 「秘書から聞きました。それと記録の改竄が見られました。もう少しマシな人間かと思っていましたが、やはり屑ですね」



 リーファは複数の書類を手に持ってアレイグルへと見せる。

 青ざめるアレイグル。



 「そ、そんな証拠いくらでも捏造できるわ。今まで育ててきた恩を仇で返すと言うのか。儂を嵌めようとしておるな貴様!」

 「国民はどちらの言葉を信じますかね。貴方と私、それにアクアラプラスのお二人」

 「ぐっ!」

 「この教会から失脚してもらいます。本来教会は身寄りのない子供たちが満足に暮らせるようにする為の施設なんです。貴方の私腹を肥やすためにあるんではありません。私も気づくのが遅くなってしまいました」

 


 リーファはそう言って証拠の書類と共に部屋から出て行った。

 


 「くっ、あの無能が。何故書類を処分しなかった! ま、不味いぞ。この事が国中にばれれば儂の立場が」

 


 アレイグルは急ぎ教会の幹部たちを呼んだ。



 「今すぐリーファを暗殺しろ。死んだ理由などアクアラプラスの二人に擦り付ければいい」

 『はっ。承知いたしました』

 「それと秘書も殺せ。同罪だ」

 『畏まりましたアレイグル様』



 アレイグルはリーファ暗殺に向けて暗殺部隊を送り込んだ。



            ◇


 「協力ありがとうございます。貴方のお陰で気づく事が出来ました」

 「いえ、私も罪悪感に耐えきれなくて」

 「貴方の罪は償えます。だって貴方は勇気ある行動をしたのですから」

 


 秘書の女性と話すリーファ。

 リーファはアクアラプラスを否定する言動を取っていたアレイグルを怪しみ、アレイグルの身辺を徹底的に洗い出した。

 その結果色々な驚きの結果が発覚した。


 ・教会の子供たちの貧しさ

 ・自分や幹部ばかりが羽振りの良い生活

 ・国王からの多額の賄賂

 などだ。



 「私も気づくのが遅くなって申し訳ありません」

 「それは仕方ありません。リーファ様は殆ど軟禁状態でしたから」

 「これからは私が信頼を置ける人物に教会の運営を任せたいと思っています。アレイグルには地下牢に入って貰うとしましょう」



 リーファと秘書が一緒に夜の街を歩いていると、何者かに囲まれた。



 「誰ですか?」

 「貴様には死んでもらう」



 リーファに襲い掛かるアレイグルが差し向けた刺客。

 リーファはだが冷静さを一切かかなかった。

 まるでこの事を予知していたかのように。

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