ディオス、リーファに拒絶される!

 「そろそろ死んだかしらねライルの奴」

 「はははっ死んだだろう。あんな大嘘つきがあの森で生き残れるはずねえ」

 「泣きながら死んでいくところを容易に想像できますよ」



 エルシー達は豪華な部屋で豪華な食事をしていた。

 美味い酒を飲みながら。



 「ところでディオスの奴はどこ行ったのよ?」

 「ディオスならリーファを誘って食事だと」

 「はあ!? ディオスの奴、私よりリーファの方がいいわけ?」

 「落ち着いてください。いつもの事じゃありませんか」

 「まああいつの女癖の悪さは飛びぬけてるけど。でもライルなんかより優秀だからこのパーティーのリーダーなのよね」

 


 エルシーがお酒で酔った状態でそう言う。

 ガロンとディオスもエルシーの話に肯定した。



 「あんな大嘘つきとディオスを比較するのは可哀そうだ。優秀さが、才能が違いすぎる」

 「珍しく同意見ですねガロン」

 「一時期でもこの偉大なるパーティーホーリーナイトにいたというのが俺は気に喰わねえ。追放して正解だったぜ」

 「リーファはライルの何を買ってるんですかね? 全く理解できません」

 「見る目がないのよ、私と違ってね」



 エルシー達はライルをこき下ろしながらひと時の食事を楽しんでいた。


               ◇


 「リーファ、楽しくないのか? それともお口に合わなかったな?」

 「そんなことより一体私に何の用ですか? 二人きりで食事がしたいなどと」

 「君の美しさが頭から離れなくてね。是非食事とでも」

 「はあ……」



 リーファはディオスの前で大きくため息をついた。

 そして食事には一切手を付けず、話を切り出す。



 「ライルさんが脱退した理由は何ですか?」



 リーファの問いにディオスの眉がピクリと動いた。

 「僕との食事中に他の男の話をするのはよくないな」

 「答えてください」



 リーファは凄い剣幕で睨みつけた。

 ディオスは「やれやれ」と余裕そうに下品に笑う。



 「追放したんだよ。大嘘つきの無能だからな」

 「追放!? 大嘘つき!?」

 「だってそうだろ。偶然当てた事実をさも自分の手柄のように言ってさ。ほんっと無能でお荷物だったんだよな」

 


 ディオスはリーファを嘗め回すような視線でそう大層に言い放った。

 リーファはそれを聞いて唖然としていた。



 「この後寝室でも一緒に――」

 「二度と私に近づかないでください。私は貴方みたいなタイプが一番嫌いなので」

 「なっ!? 教会の寵愛を受けたからって調子に乗るなよ」

 「本当に見る目がないんですね」



 リーファはそのまま椅子から立ち上がり、部屋から出ていく。

 ディオスが慌てて腕を握るが、拒絶された。



 「くそがああああああああああ!!」

 


 ディオスはテーブルに並べられていた食事をテーブルごと吹っ飛ばした。

 食事が床に散乱する。



 「何が見る目が無いだ、調子に乗りやがって。あんな大嘘つき野郎のどこがいいんだ?」



 ディオスにはライルの良さが全く理解できなかった。

 それどころか無能だと、お荷物だと確信していた。



 「まあいいライルはもう死んだだろう。これでリーファは諦める筈だ。その後は慰めに俺が抱いてやるか」



 ディオスは片づけを自身の専属メイドへとやらせた。

 


 「おい、片付けが終わったら寝室へ来い」

 「わ、分かりました」



 少女はディオスの凄い剣幕で恐怖して、すぐに片づけを始めた。

 


 「今頃泣きじゃくりながら死んでいくライルの姿が目に浮かぶぜ」



 ディオスは余裕そうな下劣な笑みでそう呟いた。

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