盗賊を撃退しました!

 「本当にモンスター多いわね」

 「そうだな。浅層だからゴブリンなど雑魚しかいないけどな」



 俺とアーニャは文句を言いつつ持っていた剣でゴブリンを次々と討伐する。

 銅の剣に比べて鋼の剣+の切れ味は抜群だ。

 ゴブリン程度のFランクモンスター程度なら余裕で討伐できる。

 流石にアーニャの高価な剣には敵わないが。



 「よしここら辺のモンスターは討伐したし、深層へと進むか」

 「オッケー。私、今かなり楽しいわ。」

 「俺もアーニャと冒険出来て楽しいよ。だって剣聖だぜ、滅多にお目にかかれないからな。早く調査終わらせて国王やアレイグルに一泡吹かせてやろうぜ」



 俺とアーニャは冒険者としての心構えを忘れずに行動する。

 闇の森の浅層から中間層に差し掛かろうと言う所で突如魔力の気配を感じた。



 「これは人間の魔力!? まさか俺達以外にも魔導師が」

 「どうする戦う?」

 「ラプラスの悪魔で直近の未来を見てみる」



 俺はラプラスの悪魔を使用した。



 ここで待機したら――

 ここで臨戦態勢に入れば――



 「盗賊と戦う事になる。すぐに襲い掛かって来るぞ」

 「じゃあ撃退しちゃおうか」



 俺達は臨戦態勢をとった。

 その後すぐに盗賊たちが俺達の目前に姿を現した。



 「おい見ろよこんな所に弱そうなガキが二人いるぜ」

 「一人はすげえ美少女だな。胸もお尻も大きくて犯しがいがありそうだ。もう一人はどっかで見たような……」

 「どうしますかリーダーやっちゃいますか?」



 盗賊のリーダーと思われるごつい巨体の男が巨大な斧を持って一番前に出る。

 


 「金目の物はあまりなさそうだな。男は殺せ。女は連れて帰る。丁重にお持て成ししろよ、お前たち」

 『いえええええい、さすがリーダー』



 盗賊か。闇の森でお宝を漁っていると言う事は最低Bランク程度の実力者か。



 「アーニャ一瞬で終わらせるぞ」

 「もっちろん。こんな下品で気持ち悪い奴なんかと一緒の空気吸いたくないわ」

 「じゃあ俺がラプラスの悪魔を使う」

 「サポート宜しくねライル」

 「任せておけ。ラプラスの悪魔」



 ここで俺が銅の剣+で斬りかかったら――

 ここでアーニャが高価な剣で斬りかかったら――

 


 「どんな未来でも俺達の勝ちが確定している」

 「ええつまんない。まあいいけど、じゃあやりますか」

 「ああ」



 俺とアーニャは剣を持って攻撃する。

 盗賊連中は舐めた態度を取っている。



 「はっ、そんな細身で何が出来るんだよガキどもが!」

 「お前達に勝てるさ」

 「何!?」



 俺は銅の剣+で盗賊連中の二人の持っていた剣を手から弾いた。

 こんな奴らでも殺しはしない。命の価値は尊いからな。



 「てめええええええええ!」



 もう一人の男が剣で俺を攻撃してくる。

 俺はそれを華麗に回避した。



 「はああああああああああっ!」



 入れ替わりでアーニャが俺を攻撃してきた盗賊の剣を弾く。

 盗賊の剣が近くにあった木にぶっ刺さった。



 「分かっただろ。こう見えても剣術は扱える」

 「お、おいこいつどっかで見たことあると思ったら、ホーリーナイトのライルですぜ」



 知っていたのか。

 元だがな。



 「何!? ふっ、あり得ねえ。ホーリーナイトのメンバーがこんな所にいる筈ねえだろうが!」

 「で、でもこの顔間違いないですぜ」

 「ビビってんじゃねえぞお前ら!」



 盗賊のリーダーの男が喝を入れる。

 どうやら本気には信じていないらしい。



 「ガキが舐め腐りやがって!」

 


 盗賊のリーダーの巨体の男が巨大な斧を持って立ちはだかる。

 巨体の男が斧をぶん回す。

 俺達はそれを剣で軽々受け止めた。



 「な!? この俺様の攻撃をどうやって!?」

 「魔力はあっても魔法は使えないようだな雑魚が」

 「Bランクだぞ舐めるなガキが!」



 魔法を使用してくるのを感じ取った。

 というか《ラプラスの悪魔》で直近の未来を見ていたので知っていた。

 煽る為に言ったに過ぎない。



 「ファイアアックス」



巨大な斧に火が纏う。

 こいつは初級魔法しか使えない一般職の斧師だな。

 ただの雑魚だ。



 「死ねガキがああああああああああ!」

 「哀れな連中だ。俺達の勝利の未来は確定している」



 巨体の男の攻撃を斧ごと弾いて俺は盗賊のリーダーの腹部を蹴り飛ばした。

 いくらサポートが本命と言ってもこの程度は出来る。



 「ああ私が蹴ろうとしたのに」

 「アーニャにはもっと強い敵と戦ってもらうよ。温存だ」

 「むう」



 アーニャは頬を膨らませて不満げな表情で拗ねた。

 俺はそれを余所目に、吹っ飛んで気絶している盗賊のリーダーの取り巻き連中に大声で言い放つ。



 「失せろ。これ以上悪さするなら次は殺す!」

 「ひいいいっ、わ、悪かった。もう悪さはしない。見逃してくれ」

 「二度と盗みなんてするな。分かったらとっとと消えろ」



 盗賊連中は身体を振るわせて怯えながら逃げていく。



 「や、やっぱり本物のライルだ。ホーリーナイトのメンバーだ」

 「女の方も異常な実力だ。やべえ連中だ」



 盗賊連中がリーダーを抱えて逃げる際にそう呟いた。



 「とんだ邪魔が入ったな」

 「まあこういうのも冒険者のお約束でしょ」

 「そうだな。じゃあ中間層へ行くぞ」

 「ええ」



 俺達は盗賊を撃退して闇の森の浅層を突破した。

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