女子力物理のご令嬢は最強を目指す

冥狼

第1話気付いたら転生していたようだ

何か知ってるような景色、何だか聞いた事のある名前にいつもデジャヴとか呟いてた。

そんなある日私、ミスティア=フィアロは思いついた。

あれ?コレって友人が私のあまりにも低い女子力と恋愛値を心配して『これでトキメキと恋愛について学びなよ!』と押し付けてきた乙女ゲームじゃないか?国名やら王都の名前そして自分の名前にしろこの瞳の色、髪の色そしてこの顔成長したらあのライバル令嬢じゃないか?

コレって巷ではやりの転生ってやつか?マジか!!よっしゃぁ!!と心の中で叫んだ。だって仕方ないじゃないか転生だよ?異世界転生だよ?

それにこの世界って剣と魔法のファンタジー世界だよ!?魔法があるのよ?!魔法だよ魔法!!魔法が使えるって事はね前世で諦めていたあの格闘ゲームとか格闘漫画とかアニメで使われていた技がリアルでできるかもしれないんだよ!!炎の拳とか波動な気を打ち出すとか風圧を飛ばして切り刻むとか・・・考えただけで滾るし燃える?萌える?わ!!まぁ属性ってのがあるけどそんなもの気力でどうとでも行けると思うのよ。ヤバいわ~顔がにやけるわ~じゃなくて


「ぷにぷに・・・」


自分の腕や足そして腹を摘まむ。筋肉らしい筋肉がない。これは由々しき事態だ。別に太ってるって訳じゃない。幼児特有のまろやかというか柔らかさって言うか・・・このままじゃぁ駄目よ。だが幼児期から筋肉を付けすぎるのもよくないというのも分かっている。適度に付けるのがいい・・・が、今の私には適度にも何もない、このままではずっとぷにぷにだと思う。だってまだ家の中でぽてぽて歩くだけだ。機敏に動けるかと言えば今の私の状態では無理だ。いくら幼児と言う年齢を差し引いてもこの動きはない。

庶民ならばもっと動ける気がする。貴族なので自分の事もメイドがやってしまう私がやる事って腕の上げ下げ髪を結ってる間おとなしくしてるっていうだけだし食事にしても上げ膳据え膳である。このままじゃ私の欲しい筋肉は付かない。

だって貴族のする運動ってダンス位だよ?と言ってもまだ何もしていない。してる事って言えばただ人形遊びとか絵本を読んでもらうとかそんなんじゃ体力なんて筋肉なんてつくわけないじゃない!!ダンスを習い始めればきっと体力は多少は付くだろうが私の欲しい闘う筋肉は付かない・・・きっと。ならどうするかって?


「あるきゅにょ・・・はしれにゃいにゃらあるきゅ・・・ふっきんもすりゅ」


幼児特有のろれつの回らなさの悲しさよ。

部屋の中をぽてぽてと歩きながらも前世の事を思い出す。

私の前世は西園寺撫子20歳は格闘大好きな女子大生だった。一応西園寺家のお嬢様でもあったが護身術を習いだしたらそれが楽しくて楽しくて気付いたら剣道柔道合気道、居合に空手にカポエラやら色々と学んだ。プロレスとかも大好きだった。テレビで見るのもDVDも揃えるくらいに大好きだった。鍛えても鍛えてもあまり筋肉が付かなかった・・・体質的な問題だったがちょっとショックだった。

そんな私の女子力と言うのは底辺に近かった。料理は何とか出来たが、そのほかは壊滅的だった。お嬢様って事でした事買ったのが災いしたのか初めて部活動の合宿で漫画に載ってるようなお約束のような状況になった洗濯で泡を大量発生させ掃除をすれば綺麗にするどころか散らかる不思議。裁縫は自分の服まで一緒に塗ってしまう不器用さ・・・不器用で済むのかはわからんが、そんな私なので恋愛なんぞ二の次三の次で二十歳でもお独り様だった。

そんな私を心配する友人は、乙女成分を吸収するのよ!!トキメキと恋愛を学びなさいよ!!と乙女ゲームを押し付けてきた。

ちゃんとプレイするようにと進行度合いを聞いてくるので誤魔化せなかった。

なのでおとなしくプレイしたが、RPG要素などの格闘系の部分は割と楽しめたがイベントなどでの攻略対象のくそ甘いセリフやら行動で背中が痒くなりこれ私にとっては拷問だよと呟いたのを聞いた友人は呆れた目をして「蕁麻疹が出ないだけましなのかしら?」と頭を抱えていた。

一応何度かプレイしたのだが私にはやっぱり恋愛に対しての経験値や才能は無いようでいつもいつも何度もやり直してもバッドエンドと言う名のノーマルエンド?誰とも何のフラグが立つことなくいつもお一人様で卒業したりする。

どうも最初の選択肢から好感度からも程遠い物を選んでいる様でバッドエンドへの分岐など行く事なく初めからお一人様への道を爆走していたようだ。それを見た友人はいつもいつも頭を抱えて泣いていたマジ泣きだった。もう諦めてよと言ったが彼女は諦めなかったなぁ・・・そのうちの一本がこの世界が舞台になってた。

ゲームはヒロインの少女が編入してくるところから始まる。

この世界にある学園は魔法を学ぶ場でもあり社交場でもある貴族の通う学園ルドブルに15~18歳まで通う。言ってみれば魔法の使い方や勉強は家庭教師に倣っているので成人する前にある程度人脈を作るっていう場である。婚約者の決まっていない者は学園で相手を探すっていう事もあるようだ。そのため平民はほぼいない。学園に居る平民は強い魔力を持ってしまったものか珍しい属性の者が入る事が出来る。確かヒロインは突然強い魔力を持ってしまいそれを制御するために学園に通う事にって話だった。属性はそこまで珍しくもなかったはずだ。テンプレなら光とか聖属性なのに何でかこのゲームはそんな事は無かった本当に普通に風属性だったはずだ。


しかし私は恋愛する気も初めから無いのでヒロインは勝手に恋愛だろうが何だろうがしてくれていて構わない・・・私に迷惑が来ないなら好きに過ごせばいいいと思っている。

そうこの世界には前世の物は無いが魔物はいるのだから今度こそ負けたくはない。

私は前世死んだときの事を思い出す。そう…大きな物にぶつかられたらただでは済まないだろう。だって私は死んだんだから。ダンプカーに轢かれて・・・私の最後の言葉に傍で叫んでいた親友の涙は止まった。笑わずとも泣いてほしくなくてそれに私は次こそは勝ちたいと思って言ったのに・・・友人の目は死んだ魚のようになってた叫んでたなぁ・・・そこまでで意識がなくなったからあの後どうなったかは知らない。気付いたら転生してたってラノベのような状態だしね・・・だから今世では何物にも負けないように鍛えたいし技を増やして最強を目指したい。


前世の私の最後の言葉思い出し今なら無い。あれは無い絶対無いと今なら思う。

私の最後の言葉


「・・・私・・・か・・・・・・ダン・・・プ・・・カー・・・には・・・か・・・勝てな・・・かった・・・よ・・・次は・・・絶対・・・勝つか・・・らね・・・」

「あんたは何で最後まで脳筋みたいなこと言ってんだぁぁぁああああ!!」


うん。友人の絶叫も仕方ない。

私は遠い目をして前世の自分の馬鹿な最期の言葉は黒歴史として心の小箱に固く鎖を鍵をかけて仕舞っておくことにした。

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