第28話


ベッドがすこし、堅牢な感じである事を除けば

この個人室は、病院と言うイメージから

すこし外れた感じ。

それが好ましいと僕は思った。


パワーモーター・ドライヴにより

ベッドは起こされ

リクライニング・ソファに寄りかかったように

薗子、21歳の彼女は

神々しい微笑みで僕を見た。



「........。」


彼女は何も語らない。

ただ、何かを懐かしく想うような視線で

初対面の僕を見ていた。


僕も、その21歳の薗子を見

17歳の薗子のイメージを

重ね合わせて見ていた。


もう、記憶の中でしか逢うことができない彼女。

21歳の薗子は、僕には記憶の中

17歳の彼女と

寸分違わぬかのように思えた。

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