第37話クズの作り方③


僕は、全力で走った。

あゆみに会いたくてしかたなくて

あの道を右に曲がれば直ぐあゆみの家だ

僕は右に曲がり2階まで一気に駆け上ったことを覚えている


トントン

トントン


僕は息を切らしながら扉をノックをした


どちらさまですか?


あゆみの声が聞こえる

ケンイチだけど

すると、あゆみは

鍵を開け


どうしたの?

すごい汗だよ

あゆみが心配そうな顔をしながら話しかけてくれている

僕は数回、深呼吸をして息を整え

あゆみに話かけた


「話したいことがあって」

「いま、言いたくて」

「聞いてもらえるかな?」


うん、もちろん聞くよ

どうしたのかな?


「ぼく、あゆみの事」

「好きみたい」

「みたいじゃないね、好き」

その時、あゆみがどんな顔をしていたのかわからない

「好き」って言った時、僕は下を見ていたから


私も好きだよ

けっこう前に言ったよ

忘れちゃったの?

「覚えてるよ」

「でも、あゆみは」

「友達って意味の好きだよね?」


急にあゆみが笑い出した

僕は何か変な事を言ってしまったのかと思ったけど違った


友達の好きだったらキスなんてしないよ

ひょっとして、私がキスに興味があってしたとでも思ってたの?

「ち、ちがうの?」

ちがうよ

「同じ環境だったから?」

ちがうよ

私はあの時も今も何も変わってない

ずっと

ケンイチ君が好きだよ

友達とか作った方が良いよって思ってたけど

今は、思ってない

真奈美ちゃんとの事があったからその時は流石に

無理かもって思ったけど

真奈美ちゃんも私たちと一緒で寂しいんだと思ったら逆に友達になりたいって思ったんだよね

「今もさびしい?」

寂しいわけないでしょ

こうして今も二人で会ってる

真奈美ちゃんとの関係は今まで通りで良いよ

私はずるい子だから



なんで、あの時

あゆみは自分のことをずるい子って言ったんだろう

ずるいには僕なのに

キスをしたい、とける姿が見たい

それが目的だったのに

あの時はできなかった。

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