第19話 見つかる


あゆみからの告白は嬉しかった。

たぶん、いや絶対、学校で一番かわいい女の子からの告白だった。


それからの事はなぜか覚えていない


ただ、あゆみと一緒に帰る日も遊ぶ日も増えたことは覚えている

小学1年生で恋人とかそんな言葉、知らなかったし意味なんて全く知らない

あの時の二人はきっと恋人だった


毎回、あゆみの家で遊ぶその理由は分からない

あゆみがいつも私の家に来てねと言うから僕は行く

それが、当たり前だった。


夕方になりチャイムが鳴る

そろそろ家に帰る時間ですよと知らせる音だ

二人にはそんな音なんて関係なかった。


家に帰っても僕には迎えてくれる人がいない

あゆみも僕が帰ると一人の時間が出来てしまう

チャイムが鳴るとあゆみ何時も泣きそうになる

そんな、あゆみと別れるのは駄目な事だと思っていた

だからいつしか二人とも気にしなくなって行った


僕の感覚だと19時ごろ、あゆみの家から歩いて帰るそんな感じだったと思う


あの日は違った

二人はいつもの様に笑いながら時間を過ごしていた

チャイムがなっても気にしなくなっていた僕らに衝撃が走った


あゆみの家の扉の鍵を開ける音がした。

「ガチャ」

あゆみのお母さんだった。

遠くから見たことは数回あったがそれ以外は見たことは無い

挨拶もしたことが無い

とても温厚そうなお母さんに見えたのは

一瞬だった

「何時だと思ってるの」

「二人でこんな時間まで」

「早く帰りなさい!」

怒られた


僕は、御免なさいと言ってあゆみの家を出た

外は暗くて少し寒い

何時もあゆみが

「またね」って言ってくれてたから

外が暗くなっていても気にはならなかったが今日は違った。

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