第5話  ともだち

僕に、友達が出来た

5歳の夏くらいだとおもう


その女の子の名前は「真奈美」保育園を卒園するまでづっと一緒に遊んでくれていた

嫌がらせは卒園ま続いた。


初めて経験する遠足の日、当たり前のように二人で行動をすると思っていたのが

風邪を引いた様で遠足に来れなかった

僕は一人、歩いていた。真奈美ちゃんしか友達がいないわけで存在感がなく気づいてくれる人はいない


保育園の先生も他の子供たちに振り回されているのでその集団に僕が入っていると錯覚をしていたのでらう


先生が明るい声で「ここでお弁当食べるよー」と言った。


僕は、お弁当の存在を知らなかった。

なんで僕だけ無いのかそんな事は分かるはずもない


嫌がらせをしている子供達が僕がお弁当を持っていないのを大きな声で騒ぎ立ている

漸く、僕がお弁当を持って居ないのを知った先生がおにぎりをくれた


そこから先生は保育園に戻るまで僕と一緒に歩いてくれてお迎えの時間まで先生が絵本を読んでくれた


ママたちが子供を迎えにくる時間がきた

僕、以外の迎えは順調だった

いつもの事だから寂しいとは思わなかった


延長保育の時間も過ぎている

先生はきっと僕の家に電話をかけているのだろうが繋がらない


外も暗くなり慣れていた孤独も寂しさを感じはじめた。

しばらくすると母が迎えに来てくれたが僕の心は温かくなる事はない


お弁当も無い迎えにも来てくれない母の事を決して当時の僕は好きではなかっただろう


翌日、真奈美ちゃんは風邪が治った様で何時もの様に二人で遊んでくれた。


その時の僕たちの遊びは少し変だったと思う

先生に見つからないように何処まで園内で隠れられるか

真奈美ちゃんと僕が別々で隠れるのではなく二人で隠れていた

そんな遊びをしているなんて先生は知るはずもない

だからこそワクワクしていたのだと思う


二人隠れん坊といったところだろう


給食を食べてまた僕らは二人隠れん坊をする

卒園するまで一回も見つからなかったのは不思議だったが

その不思議が重なりあった事で僕は変わっていく


「こっちこっち!」と真奈美ちゃんが僕を呼んだ

「ねぇ?」

「赤ちゃんってどうやったら出来ると思う?」

僕は悩んだが5歳の少年にはわかるはずがない

「こやるんだよ」と突然

真奈美ちゃんがキスをしてきた

「パパとママが毎日、チューしてるから」

「賢一君の事、好きだから」

「一日、一回、チューしようね!」


僕も真奈美ちゃんとしか遊ばないしお喋りもしない

 「ねぇ?だめなの?」と真奈美ちゃんが怒っている

答えなんか分かるはずもないので

チューのお返しをした。




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