第5話 くたばれデビルマン!

 『午後7時のニュースをお伝えします。

 昨日、警察庁は、暴力団組員工藤良勝24歳を殺人未遂傷害罪で逮捕しました。

 なお、被害者である高校生は、一時、危篤状態でありましたが、一命は取り留め、回復に向かっているとのことです。繰り返します、昨日…』


 (…茂樹君、良かったよ~、本当、良かった…)


 堀内、助かったってよ。でも、また、やられるんじゃないの?


 吉川君、不謹慎だよ!そんなこと、言わない!


 なんだよ、美咲!冗談だよ。冗談!


 私、さき、帰るわ! ご馳走様。


 何だよ、美咲! 怒ったのか?

 冗談だってば~


 (…本当に良かったよ…)


~~~~~~~~~~~~~~~


 美咲ちゃん、来てくれたの!ありがとう!

 どうぞ、入って!


 失礼します。


 あっ、茂樹君!


 背中から刺されてね、腎臓まで傷が達してて…

 ほら、この子、写真、握ってるでしょ?あれね、美咲ちゃんの写真なのよ。


 茂樹!茂樹!美咲ちゃん、来たよ!美咲ちゃん、来てくれたよ!


 ねぇ、もう意識、戻らないの…


 おばさん、お医者さんは何て、言ってるですか?


 今夜が山場だって言われてる…

 かなり、失血したから、危ないって…

 あとはね、この子の生命力次第だって…言われたわ。


 あの~、私、今夜、一緒に居ても良いですか?


 美咲ちゃん…、ありがとう…


 茂樹!美咲ちゃんだよ~!


 美咲ちゃん、茂樹の手、握ってあげて!


 はい!


 茂樹君、頑張って、死なないで!


………………………………………‥…


 藤田?


 あっ、茂樹君!


 何で、お前、ここに…


 心配で、心配で…


 何で、泣くんだよ…


 だってぇ、心配だったもん…


 なかなか、死ねないね…


 だめだよ~、変なこと言わないでよ~

 私、私、ずっと茂樹君の事、好きだったんだよ~


 でも、お前、デビルマンの彼女になったんだろ?


 違うよ!茂樹君が、結婚したいほど好きな人居ると思ったから…

 それで、茂樹君じゃなければ、誰でも良かったのぉ…


 美咲、約束してくれるか?


 うん!


 俺、真面目になるからさ、

 ちゃんと、大学行ってさ、

 そして、お前にプロポーズするから


 うん!


 それまで、待ってて…


 うん!


 約束するから…、ちゃんと、真面目になるから…


 うん!


 それまで、2人の秘密にしてくれ…


 秘密じゃなくても構わないよ!


 いや、俺、すぐ、駄目になるからさ…、今度で懲りたよ、


 茂樹君、結婚するほど好きな人、居るの…


 お前だよ、美咲さ…


 それ、聞きたかったの…


 吉川、あいつ、やめとけ…、


 うん!


 あいつ、嫌な目をしてる…


 私、茂樹君、以外、好きになれないのよ!


 本当?良かった…


本当よ!


 うん!分かった…


 うん!


 約束だぞ!大学入るまで、2人の秘密だぞ…


 うん!私、1番好きな茂樹君と結婚する!


 俺もさ、1番好きな美咲、誰にも渡さないよ…


 うん!


 ありがとう、美咲…


~~~~~~~~~~~~~~~

美咲ぃ~、待てよ~、どうしたんだよ!急に怒って!冗談だよ!


 吉川君、ごめん!

 別れよう!


 何だよいきなり、まだ1週間だぜ!

 俺のこと好きなんだろ?

 美咲は?


 違うよ!

 好きなんか、一回も言ってないよ!


 おいおい、待てよ!

 他に好きな人、居るのかよ!


 居るわ!


 誰だよ!教えろ!


 言わない!


 俺のどこが嫌なんだよ!


 その目付きだよ!


(…くたばれ、デビルマン!…)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る