第4話 デスクカバーに挟まれた一枚の写真

 (…どうして、茂樹君、あんな怖い目で、私達を睨んだのかな…、私達、茂樹君と関係ないのに…)


それから、毎日、私の耳に入ってくる情報は、嫌な情報ばかりでした。


 美咲!、知ってる?3組の堀内君、また、他校の生徒と乱闘事件、やったみたいよ!

 荒れ放題!


 えっ!茂樹君、最近、学校に来てないでしょう?

 

 うん、担任が家に行っても、出て来ないんだって!

 そしたら、今朝、学校に警察から電話あったみたい。

 3組、大騒動だわ!


 そうなんだ…


(私は関係ないもんね、私には吉川君がいるから…、堀内茂樹、片思いの男子だっただけだもんね…)


 吉川君、堀内君の噂、聞いた?


 おぅ、凄いことになってるみたいだな。


 あいつ、ヤクザの息子、殴り飛ばしたって噂だよ。

 多分、あいつ、死ぬな!


 マジ!ヤクザの息子!それ大変じゃん、警察や学校は何とかしないの!


 無理だよ。アイツから因縁付けてボコボコにしたみたいだぜ。

 停学処分だってさ!

 美咲の中学の奴、怖いねぇー


 うん、堀内君、中学の時から喧嘩ばかりしてたからね…


えっ、美咲、茂樹君って呼んでいたのに、堀内君て呼び出したなぁ~

 まぁ、アイツは最後は高校辞めるでしょ!


 うん


~~~~~~~~~~~~~~~

【次の日の朝礼】


 えー、あまり良いお知らせではありませんが、皆んなを動揺させないよう、情報提供だけしておきます。


 昨夜、3組の堀内茂樹君が、背中を刺され、危篤状態となっています。

 状態については、予断の許されない状態が続いていると言うことです。

 もうじき、マスコミ各社が当高校に押し寄せて来るかと思いますが、堀内君の個人情報は絶対、言及しないよう注意して下さい。

 なお、本日は、警戒のため、午前で授業は終了し、下校して下さい。

 そして、帰宅したら、必ず、私のメールにその旨、連絡して下さい!


(…茂樹君…)


 美咲、やっぱり、言ったとおりだろ!

 ヤクザの報復だぜ!

 美咲は俺が家まで送ってあげるから安心しろ!


 ありがとう、吉川君。


 その夜、9時頃でした。

 私の家に堀内君のお母さんから連絡がありました。

 電話口で母が大きな声で叫んでいました。


 分かりますが、相手は暴力団でしょう!うちの美咲を巻き込むのはやめてください。

 いえ、お気持ちは分かりますか…


私はそっと階段を降りて行き、母に事情を聞きました。


 ちょっと、お待ちくださいね!


 あのね、堀内君、危篤だって、それでね、堀内君、最後にね、家にある写真見たいと言うから、堀内君のお母さん、その写真取り行ったらね、美咲の卒業アルバムの写真、キリッ取ったものだったみたい。

 それでね、堀内君のお母さん、最後に、堀内君に美咲を会わせてくれないかって言うのよ!

 相手、暴力団でしょう!

 美咲、行かせないからね!


 (…一番好きな人、私…)


 お母さん、ちょっと電話変わって!


 もしもし、美咲です。茂樹君、大丈夫ですか?


 美咲ちゃん、ごめんなさいね。

 茂樹ねぇー、もう駄目かもしれないの…、

 あの子ねぇー、写真、写真、言うから…、机の下敷きに挟んでるから…、言うからね、見たら、…美咲ちゃんの写真だったの…、それ渡したらね…、安心した顔してね…、意識….また、無くしてねぇー…、美咲ちゃんの声、聞かせてあげたくて…、もう、目は開かないと思うから…、声だけでも…


 私、今から行きます。

 待っていてください。

 茂樹君に、今から行くからと…、言ってあげてください!


 お母さん、私、今から病院行くから、送って!


 美咲…、


(茂樹君…、死なないでねぇ…、一番好きな人と結婚するんでしょ….、死んだら…絶対、ダメだから…)

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