第20話 10年後

あれから10年が過ぎた


あの日から

俺はまたサッカーに一途になり

三年生が引退すると同時にキャプテンになり

目標の場所で優勝こそは出来なかったが

高校在籍中にプロサッカー選手としてスカウト

そしてデビューした


そこからは

高校の寮から

クラブチームの独身寮へ引っ越したから

部活の仲間とは、それかほとんど会っていない

高校へは最低限にしか行けなくて

卒業式くらいしか覚えていない


学校内や地域ではある程度有名人になっていたから

いろんな人から写真撮影を頼まれて

制服は身ぐるみはがされて


まだまだ肌寒い三月なのに

制服のズボンとTシャツ姿で最後の写真を撮った

その写真は

幸助と唯香とのスリーショットだった

この写真は

今でも俺のスマホの待ち受けになっている


奴らは親友だから


そうそう

あれからの事

あの日からの事


俺は俺のまわりは

かなりの変化があった


幸助はあれから多分

唯香に会いにいたんだろうな・・・


次の日から

奴らは付き合い始めた


いつからそういう関係だったのかな?


ずっと同じように仲間してたのに

男と女は分からない・・・


唯香はあんな感じだから

サバサバしているけど

幸助は唯香にぞっこんで

いつでもマトワリついてベタベタしようとして


「キモイって!!」唯香


って唯香に怒られてたな

幸助はそれにめげずに


「はいはい、そういう冷たい言い方も可愛いんだよね」幸助


そう言って俺の前でのろけた

俺はしらけた視線を幸助に送りながらも

二人が仲よさそうなことが羨ましくもあり

嬉しかった


奏とは・・・会っていない


あれから自然消滅のようなかたちになった


何度かメールが来たけど

俺が返信をわざと遅らせた

っで

的のはずれた内容のメールを何度か返したから

奏からのメールは無くなっていって


半年くらいした頃かな?


噂で直輝と付き合ってるって聞いたけど

直輝もとくには何も言ってこないし

もちろん

奏も音沙汰は無いので

俺はそれを機に奏の連絡先やメールの内容をすべて消した


最後のメールを消そうとして

心残りか?手が止まった

そして

もう一度、その内容を見た


”もう一度会って

ちゃんと話がしたかった

色々、ごめんなさい”


それは

”さよなら”とは書いていなかったけど

別れの言葉だと

俺は勝手に解釈し

そう思うと気持ちが楽になったから

それ以上

返信もしなかった


そして・・・消した


それから先は知らない

奏と直輝がどうなったかとか

あの時、何が言いたかったのかとか

もう俺にとっては過去のものになった


そして

今も俺は自分の夢の世界で戦っている

海外生活も4年目になる


ドイツ語にも慣れてきた


来週

俺はクリスマス休暇で日本に帰る


それを実家にしか言っていなかったのに

何故か幸助からメールが届いた


”久しぶりだから会おうぜ!!

二人きりでデートしようぜ

スーパースターだから

個室予約しとく

絶対に来いよ!!

因みに

お前が財布だからな

マジで来いよ”


相変わらず強引な奴だ

メールに少し笑えた


行ってやるか・・・親友の頼みだしな


俺は荷造りをしながらそのメールに返信をした

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