第13話 眠る奏

ご褒美?という名前の3連休

俺はやっぱり自主練をする

奏と約束をしようと思ったけど

忙しいらしくて

メールであっさり断られた


最近の彼女のメールは

今まで以上にサッパリとしたもので

もしかしたら

11月12月1月と全くすれ違っていたから

遂に愛想をつかれてしまったのかもしれない


そんな予感もしていた


「お前さ・・・練習馬鹿だけどさ

最近特にやりすぎじゃねーの?」幸助


俺はベッドの横でストレッチをしながら

幸助を睨む


「彼女とデートとかしないの?」幸助


俺の動きが止まる・・・図星

幸助はニヤリとして


「クリスマスも年末年始も一緒にいれない彼氏なんていらないって言われちゃった?」幸助


・・・そうだ

普通の恋人はそんな日には一緒にいたり

特別な日として過ごすんだよな・・・


俺はサッカーに夢中で

奏に何もしてあげていなかった


俺はおもむろにスマホを手に持って外へ行った


奏でに電話する


”ぷるるるるぷるるるるぷるるるるぷるるるるる・・・・・・”


コール10回で出た


「奏・・・あの・・・今度さ」愁


すると思いもしない声


「あの・・・すみません

奏は今、寝ちゃってて」男


男の声

誰?

寝てるってどんな状況?


「勝手に出たら悪いかと思ったけど

奏が起きたらかわいそうだから・・・すみません

起きたら連絡があったことは伝えます」男


俺は動揺で手が震える

誰なんだ

この男は・・・

奏はどうして・・・寝ているんだ


「あの・・・あなたは誰ですか?」愁


声が震えないように

冷静を装って聞く


「あっすみません

なのってなかったですね

愁くん

お久しぶりです

要です」要


・・・イケメンの要くんだ

マジか?


なんだこの胸の奥に広がる失恋したような感覚


「今、どこにいるんですか?奏」愁


要くんは何も悪びれることも無く


「俺の部屋です

今日は朝から家で勉強会してて

昼ご飯を食べて休憩してたら・・・疲れちゃったんでしょうね

最近よく眠れてないって言ってたから

眠っちゃって

うつ伏せで苦しそうだったから

さっき

やっとベッドに転がしたんです

それでも

ぜんぜん起きないから

熟睡ですね」要


何でそんなに爽やかに状況報告するんだよ

勉強がきっかけで一緒にいたんだろうけど

普通、寝るか?

男の部屋で

二人きりで

しかも

男のベッドに今、寝てるんだろ?


要くんが強引な奴だったら

それは

それは格好のチャンスで


何されても仕方ない状況で・・・


俺は要くんがどんな人なのかは分からないから

変な想像しかできないよ


不機嫌な声で


「そう・・・わかった」愁


そう言ってしまう事しかできなかった

嫉妬心と妙な妄想が頭を巡る


俺はそれをかき消したくて走りに行った






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る