第11話 変化

就職して半年

研修も終わり私は内勤職の希望は叶わず

ショッピングモールの販売店に配属された


接客は苦手

毎朝"仕事しごと"と自分を上げながら出勤する


栞はあれから一度も来ていない

待ってしまった自分が情けない


何を期待していたのだろう


あの子も高校に進学して

環境も変わり

忙しくしてるのだろう


確かこの辺でも有名な進学校へ入ったらしい

その報告にも来なかった

最近の家での情報はママから入ってくる


涼太は栞と一緒の学校には入れなかったから

最近ではナカナカ一緒にはいないようで

ママはとても寂しがっていた


あんなに入り浸っていたのだから

たまには来ればいいのに‼


次のシフトの人が来て

もうすぐ帰れる時間

引き継ぎも終わり

店頭の商品を整理して並べる


「すみません」


女の人の訪ねる声に満面の笑みで振り返る


「はい」悠


そこにはけっこう派手な女子高生

制服姿で濃いめに化粧をしている

膝上20センチぐらいの短いスカート

寒くもない季節なのにカーディガンを萌え袖にして着ている

谷間が見えてしまいそうなくらい開けたシャツ

大人っぽい雰囲気


横には栞?

えっ?


目を疑った

栞も驚いた表情をして一瞬下を向く

直ぐにこちらを見て


「悠ちゃん…久しぶり」栞


バツの悪いようにも見える笑顔


「えっ?栞くん知り合い?」女の子


女の子は私を睨み

あからさまに不機嫌な表情をする

栞はうなずいて


「そうだよ

友達のお姉さん」栞


そう言うと女の子は急に表情をゆるめて


「そうなんだ

良かった~」女の子


そう言うと私に探しているコスメについて色々と質問した


30分は居たけど

栞は全く話もしないで

椅子に座り遠くをみていた

たまに女の子が


「どっちが良い?」女の子


と栞の腕を揺さぶって甘えるような声できいたら

無言で指をさすくらいだった


「ありがとうございました」悠


見送ったときにどっと疲れた


栞は笑顔ではいたけど

以前のようになつっこい様子ではなかった

少しだけショックだった


彼女なのだろうか?

同じ高校の制服だったけど

あんな派手なこもいるんだ…

あの高校は私立だし大きいから

色んなクラスがあるし

色んなこもいるよね…

栞が同世代の女の子とあんな風に居るところを見ると

やはりショックだった


でも、私は何を期待していたんだろう

世代が違うのを実感した


家に帰ると

また思い出した


高校生になって

ぐっと大人っぽくなってた

また、背も伸びたのかな❓️

美少年っぷりは変わらないけど

それに男の子らしさもあって

学校でモテるだろうな・・・

やっぱり

このころは成長が著しくて

少年から青年は大きく変わるものだ


私もあんな時期あったかな…


あの女の子

大人っぽかったな

でも

幼い表情で

ワガママそうな態度も愛らしくて


そうか

栞とはじめてあったのは

私が今の栞と同じくらいだった


私が高校生

栞が小学生


あらためて思い返したら

あり得ない


栞が私にとって特別な存在になるなんて

というか栞のほうこそ

私が・・・なんてありえないよね

あり得ない!!


私はこの半年間

栞に何を思っていたんだろう?


純一郎との失恋の衝撃で頭がおかしくなってたしまったのかもしれない


しっかりしなくちゃ


栞が彼女といたら

悲しむなんておかしい

友達の姉として喜んであげなきゃ!


だって、あんなに小さな頃から知っているんだもん


私は一人ブツブツ

自分を慰めるように

言い聞かせるように

独り言を言い続けた

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