ファイル:あとがき(ネタバレあり)

 ニュージーランドの議員の同性婚に関するスピーチが話題になったことがあります。


 いわく……


「今、私たちがやろうとしていることは『愛し合う二人の結婚を認めよう』。ただそれだけです」「関係ない人にはただ、今までどおりの人生が続くだけです」


 ……とのこと。


 シンプルながらとても強い説得力のある言葉で、私もそのとおりだと思います。。


 ただ同時に、姉妹百合を書く私は思うのです。


 そのスピーチの論理は、兄弟姉妹の結婚も当てはまるのでは? となると、いずれは近親愛も認められる世の中になるのかな? ――と。


 まあ現実的にはそう単純な話ではないのですが、物語の中ならばどうとでもなります。


 であれば、作中の鈴は自分たちの将来が困難なものと悲観していますが、そこまで大変なものにならないかもしれない。そうであってくれればいいな――と作者でありながらも願っています。




 ということで、【妹と同じ顔の後輩に告られたけど、どう考えてもこの子は妹本人である『あなた、絶対に私の妹でしょう!!』】はいかがだったでしょうか。


 当初の予定では、悠々と30話以上の話を書こうと思っていましたが、この物語は全24話をもって終了です。


 反省点の多い作品になりましたが、最後まで鈴たちにお付き合いいただき、ありがとうございます。


 少しでも楽しんでいただけたら幸いです。


 私自身は、初の毎日連載をなんとか終えて、またキャラたちをハッピーエンドに到達させることができて、清々しく嬉しい気持ちです。


 また前述のとおり、キャラクターたちが物語後も幸せになってくれればと切に願います。




 さて、それでは、ここからは物語やキャラ等の構想・設定に関するお話を若干させていただきます。


 ご興味があれば、御覧ください。



 まず、この物語の原型は、私が以前執筆した二つの短編です。


 それが――、


『川崎さんは百合なのか、違うのか』


『妹と同じ顔の子に告られた』


 ――の二つです。


 前者『川崎さん~』は私がネット投稿を始めたばかりの頃の作品でしたが、評判が良かったので、これを書いてまもなく長編化しようと計画しました。


 ところが構想で思い悩んでしまったために頓挫し、改めて複数の短編を執筆しました。


 そうして生まれたのが後者の『妹と同じ顔の~』です。


 こちらは『川崎さん~』ほどの評価はいただけなかったのですが、このアイディアを『川崎さん~』に融合させれば、良い長編物語ができるのではと考え、生まれたのが今作でした。


 妹(?)に翻弄される姉――というコンセプトです。


 まあ、それでもそこからも構想に悩んだのですが、悩みすぎるのが私の悪い癖だと思い、見切り発車で連載をスタートさせました。


 そのため、先程も書きましたが、当初の予定はゆうゆうと30話以上になるはずでした。


 しかし物語を書き進めていくと、物語が進んでいってしまったので、連載開始から一週間がたったころには、今くらいの長さで終えると決めました。


 もちろん、いろいろな問題が発生するかもと思いもしましたが、もともとが見切り発車で、突貫工事なので、特に問題はありませんでした。


 むしろ問題だったのは第1話、第2話で、このときは本当に見切り発車したばかりだったので、細かな雰囲気やキャラ設定をどうするべきかと悩みました。


 そのため連載初期は、夜12時を過ぎての投稿も何度かありました。


 しかし一方で、私が是が非でもやりたかった第22話は、とてもスムーズに書けました。


 薄ぼんやりとした構想ではありましたが、クライマックスには観覧車を入れるというのは、初期の初期から決めていたので。


 とは言え、これほどエッチな要素が満載の物語になるとは、微塵も考えていませんでした。


 なんで、みんな当然のように人の胸を触ったりしているんでしょう。



 ところで観覧車といえば、この物語の舞台は『桜浜』という架空の街ですが、モデルは神奈川県横浜市です。


 『横浜』と地元の駅名『桜木町』が由来となっています。


 そのため、花火大会、中華街、そして観覧車などは現実の横浜市を参考にしました。


 ただ、実際の横浜市――特に中華街などのあるみなとみらい地区は、架空とはいえ大きな学校を置けるスペースがなかったので、作中では桜浜という街になってもらいました。



 さて、ではキャラ紹介に移ります。


 まず私が考えたキャラは当然ながら鈴、凛、そしてアイリでした。


 ただ、この三人(二人)は物語の肝であるだけに、物語構想時はかなり設定が右往左往しました。


 双子にしたらどうか、寡黙な性格はどうか、妹を小学生にしてはどうか、など。


 また、前述したとおりこの物語は『川崎さん~』という私の過去作を原型にしていたため、当初はこのアイリも『川崎さん~』に倣い、主人公を翻弄するキャラにしようと考えました。


 そこで『アイリ』と『凛』という名前の由来になったのが、シャーロック・ホームズを唯一翻弄した女『アイリーン』です。


 しかし、それがどうしたことか、アイリと凛は、あという間に慌てふためく子になってしまいました。


 不思議なものです。



 次いで私が考えたのは山河果南です。


 森井姉妹の次に多く登場するキャラですが、この子はさほど悩まず、現在の形になりました。


 悩んだとしたら、鈴以外の誰かと付き合っているという設定を付けるか否か、ということくらいです。


 その設定はなくなりました。


 ちなみに名前の由来は『江戸川コナン』で、さらにコナン関係者の名前に『山』とつく方が多かったので、『山河』という苗字になりました。



 真壁萌は、当初ミス研の隣の歴史研究部所属という設定でした。


 しかし歴史研究部が出る気配がないので、その設定は早々になくなり、気づけば寡黙なボクっ娘になりました。


 名前の由来は、S&Mシリーズの『真賀田四季』と『西之園萌絵』です。



 チュンは、舞台が横浜をモデルにした街になるなら、中華街で暮らす子がいても良いだろうと考えた子です。


 ただ、私の教養でちゃんとした中国人を書けるのか? と不安になり、登場の予定は未定となっていたのですが、気づけば凛の家出先になりました。


 名前の由来は、かまいたちの夜などを製作した『チュンソフト』です。



 美彩・レクローネは、名前の派手さから分かるとおり、もっと派手な活躍をする予定でした。


 しかし気づけば美彩抜きで物語はどんどん進んでいってしまい、私はせめて最後の解決編で活躍させよう考えていたのですが、そこでも登場せず。


 ちょっと申し訳ないな、と思っています。


 名前の由来は、デスノートの『弥海砂』と羊たちの沈黙の『ハンニバル・レクター』です。


 シリアルキラーが名前の由来なので、もっと物語を引っ掻き回す構想もありました。



 羅生門先生は、さほど活躍しなくても、一言二言くらいのセリフはあるだろうと思っていました。


 しかし、どこにも出てきませんでした。


 名前だけインパクトのある人になってしまいました。


 名前の由来は、芥川龍之介の『羅生門』――というよりは、黒澤明の映画『羅生門』です。



 碇真奈(覚えていますか? 13話『娘さんを預かっている事件』に出てきた幼女です)は、当初は犬になるはずでした。


 いえ、碇真奈という名前の犬ではありません。


 「森井家の犬の散歩を鈴がしていたところにアイリが現れるも、犬は匂いでアイリ=凛と見破り、凛が動揺する」という構想だったのです。


 しかし犬よりも人間のほうが面白いだろうということで、碇真奈という幼女を急遽考えました。


 名前の由来は、Xファイルの『ダナ・スカリー』です。



 そして最後に鈴の元カノとして名前があがった文乃、日暮、井伊先生ですが、後者二人は残念ながら(?)その場限りの名前として考えました。


 しかし文乃は、姓に栗須という設定もあり、もっと活躍する予定でした。


 というのも、この栗須文乃の名前の由来は、アルセーヌ・ルパンの最初の妻『クラリス』と明智小五郎の妻『文代』なのです。


 そしてルパンと明智の共通点と言えば、変装が得意――。


 ということで、文乃にも変装をしてもらう予定でした。


 誰の変装かといえば、当然アイリです。


 ところが、その役割は美彩が担ってしまったので、結局文乃は鈴の元カノというだけの存在になってしまいました。


 いずれ、変装が得意なキャラを作るときには、名前を使いたいと思います。


 また、日暮の名前の由来は竜騎士07の『ひぐらしのなく頃に』、井伊先生は戯言シリーズの『いーちゃん』です。



 ――では、これにて、本作の構想・設定等のお話は以上になります。



 そして、このあとがきも終わりになります。



 ここまで読んでくださった方には、改めてお礼を申し上げます。


 また、応援、感想をくださった方には、特に深く感謝申し上げます。


 おかげさまで、物語を終わらせ、キャラたちを幸せにすることができました。


 また近いうちに次作を書く予定なので、ご縁があれば、またご覧いただければ幸いです。


 それでは、今回はこのあたりで失礼いたします。



  2021年3月19日 赤木入鹿

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妹と同じ顔の後輩に告られたけど、どう考えてもこの子は妹本人である 赤木入伽 @akagi-iruka

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