第15話 捕食者の捕食


ジャン「ノン艦長、敵は一体どこにいるんでしょう」


サフィ「こちらも見つかりません」



エールス「敵はそう遠くへはいけないはずだ。 何としても探すんだ」


 エールス達は急いで探していた。何としても早く上がりたい。 敵は手負いで、本来の性能も発揮できない。 だからすぐ追いつくはず。 それに探しているのは戦艦。 上空から探せばすぐに目につきそうである。 なのに見つからないのである。 



シノ「艦長。 先ほど、大きな爆発があったと交信が。 交戦かと」


エールス「うん。 急いでそこへ向かうぞ」





 ライルはファクトリーでラークスの修理をしていた。  クレイドが買い出し中の為だ。 



 ファクトリー内では、テーブルを囲んでロデルとイワンが話していた。 


ロデオ「おっ、 お疲れさん」


イワン「終わったのかい?」


ライル「いや、まだだ。 少しい休憩」


ロデオ「それがいい。 根詰めて体でも壊したらそれこそ意味ないからな」


イワン「お前らはそろいもそろって、みんな機械いじりが好きだからな。 

 俺も勉強しようかな」


ロデオ「やめとけ。 おめぇみたいに馬鹿には、触れるような代物じゃあねぇよ。 3日でやめちまうよ」


イワン「はぁ? なんだと!? 俺だって、あんなもん ガラクタ組み合わせりゃいいだけだろが。 ライル変われ。 俺が最強のにしてやんよ」


ライル「やめてくれ。 間違っても触らないでくれよイワン」


イワン「ライル!! てめぇまで!!」


 そこに三人の子供たちがやって来た。


ミゲル「ねぇねえ、にーちゃんあそぼーよ」

ルーシェ「遊ぼ!遊ぼ!」


 三人はライルの服を引っ張て聞かない。 ライルは疲れていて、断ったが押しに負けて後にした。



 かわいそうにと見送る二人だった。


イワン「にしてもよ、なんでライルの奴。 あんなに賞金にこだわるんだ。 ジンクスバトルなんてしなくてもよ、操縦できんなら、なんにでも働き口はあるだろうに」



ロデオ「あいつはよ、立派に考えてやがんだよ。 本当に大事なんだろう」


イワン「考えてる? 何をだよ?? 」


ロデオ「クレイドちゃんとのことだよ。 あいつは口には言わないが、あの子に何苦労なく過ごせるようにしたいと思ってんのさ。 それにほかの奴らの事もな。 目に入る奴らがほっとけないんだろう、あいつは優しすぎるからよ。 俺らの事なんてほっときゃいいのに 」



イワン「じゃあ、あいつは、俺たちにも少しはいい目を見せてくれるために……。 


 なんだよ、あいつ。 めちゃいいやつじゃんか」


 イワンは泣きながら感動していた。


ロデオ「おいおい、お前今頃気づいたのかよ。 こんなに一緒にいてよ」


イワン「ばっきゃろう!! そんなん知ってたわ。 あいつがバカ程優しいことぐらい。 でもまさか俺たちも中に入ってて、またあんな…… 命をかけようとしてるって考えたらよう。 もうなんか、俺、何やってんだって」



ロデオ「なんだよ。 てめぇを責めてたのかよ。 とにかく俺たちで皆を少しでも楽にできれば。 それはここにいるみんなが思っているんじゃねぇか。 もちろんイワン。 おめぇもな。 まぁ、最前線で頑張ってくれてるのはライルかもしれねぇ。 だから俺たちは、あいつに精一杯の精神で答えるつもりさ」



イワン「ロデオ……」


ロデオ「きったねぇな。 いい加減鼻水拭けよ。 それに、あいつ、賞金も分けて、ほとんど自分の為に金使ってねぇだろ。 多分クレイドちゃんとの資金に貯めてんだろ。 ちっちゃな金をよ」



イワン「……。 じゃ、じゃああいつ金がたまったらここを出ていくつもりなのか!!」



ロデオ「そんなすぐ貯まんねぇよ。 あいつは俺たちの事、家族のように見てんだろ。 そうじゃなきゃ少しの大金おいて、もうすでにクレイドちゃんと出ってってるよ」



イワン「そ、そうか。 あいつ、最近もちゃんと寝てないんだろ、大会の事で

 あぁ、寝かしてやりてぇな」



ロデオ「あぁ、そうだな」


 二人はそう言いながら、外で遊ぶライル達の姿を見守った。


窓の外から、クレイドが乗っている車が返って来た。 クレイドは車越しにライル達と話していた。





 ギエン隊は、スラッグ隊隊長である、スラック・レミュー達一行と施設を歩いていた。 



マレー「ここは一体、どういうことですか」


 地球にある広い住宅地、決して高級な住まいがあったわけではないが、今まで敵意しか向けられなかったギエン隊にとって、堂々と町中を歩けるこの光景が理解しがたかった。


スラック「なに、ここを植民地させてもらっただけの事さ」


ギエン「~~~~~~~~~~~」


マレー「それで遅くなったのかと。 隊長が」


スラック「すまなかったな。 ニストル様からは危険な状況だと聞いていたからな、余計、修理する場所は必要かと思ってな。船や、この新しい機体とな」



 ニギューはいかってぼやく。それをマレーが通訳していた。


ニギュー「ふざけるなよ!! 俺たちがどれだけ危険だったか、 約束時間位守りやがれっていうんだ!! 死んでたら、どうするつもりだ!」



スラック「すまんな。 だか結果、生き延びて、船も隠せたし、ゆっくり休むこともできた訳だ」


ニギュー「そ、それはそうだがよ、 そんなの、作戦だったわけじゃないだろ!! ただのなりゆくじゃねぇか!! 結果オーライみたいに言ってんじゃねぇ」



スラック「果たしてそうかな? 」


 スラックは余裕の笑みを浮かべていた。


ギエン「ニギューやめろ。 スラック隊長はやはりすごい。 話に聞いている以上だ。 こうしてお目にかかるのも初めての噂の人であったが、こんな短時間で拠点を制圧し築くなど、我々ですらできた事か、」



 ニギューは口を瞑った。 



スラック「さぁ、気が済んだらついて来てくれ。 ニストル様から預かった機体だ」



 皆は、目を輝かせる。


ニギュー「こ、……こいつは、」


スラック「ふん。 すげぇよな。 ぴかぴかだ。 GN-S1プレゼンテ」



マレー「隊長の機体……」



兵士「隊長! たった今。敵の新型戦艦が上空を飛行しました!」



スラック「ふん。 探し回っているみたいだね。 それじゃぁ、今度はこっちが後ろを取ってみようか。 プレゼンテの性能も把握するには十分じゃないか。 全体に伝えろ」




兵士「全員に告げる。 戦闘態勢。 これより、我が艦は敵新型戦艦に向け撃墜作戦を開始する。 総員直ちに準備を開始せよ、 繰り返す」



 サイレンが鳴り響くなか、ラーデル隊の反撃が開始される。





ジャン「エールス艦長、レーダーに敵艦を補足。 後ろにつかれています」


エールス「なんだと?! どういうことだ!? 」



ジャン「わかりません。 サイジロス級が2つ 」



サシャ「艦長!! 敵艦より多数のアームズドール出現を確認。 この数では、囲まれてしまいます」


エールス「急い後方転換」



グロス「艦長、これはちとまずい方じゃねぇのか」


 エールスは額に汗を垂らす。



エールス「……。 構わん。 探す手間が省けたというものだ。 アームズドール隊出撃!  射撃砲、全砲用意、急げ!」



グロス「強がりね……、 まぁ、しゃーないっちゅうもんか。 あんた立派な艦長だよ」



 グロスは一人ぼっそと、エールスを称賛していた。



エールス「ニルス隊長! わかっているな」



ニルス「えぇ。わかっていますよ。 あんな新人が動かしたんだ。任せてください。余裕ですよ 」


エールス「よし、。だがぬかるなよ、 ニルス隊長は新型機体へ、アルパ隊は、その指揮につけ 新型を落とさせるなよ!!」


 


 ニルスは新型機に向かう途中に愚痴をこぼす。 誰が、落ちるものかよ、と。



エレク「艦長!、 ……」



エールス「どうした?」


エレク「それがよう、たぶん、ダメだと思うぜ! こいつ」



 そうこう言っているうちに、敵の攻撃が開始され、被弾するサーゲンレーゼ。


 艦は左右へと大きく揺れる。



アルカーナ兵「隊長、敵艦被弾を確認」



スラック「よし! いいぞ、 そのまま打ち続けろ。 ここで落とす。 

 悪いな。 ニストル様の邪魔はさせない」



 ギエン隊パイロットはみなアームズドールに乗っている。 


スラック「アームズドール隊!迎撃せよ」



 スラックは艦の中から指揮を取った。 


スラック「ギエン隊と新たな機体。 その力見せてもらおう」





ジャン「艦長、右翼に被弾。 左、船体部に損傷、左舷砲台2番から4番破損。まだいけますが、これ以上受け続けては艦が持ちません」



サフィー「艦長!! 右舷、左舷より大弾頭ミサイル多数接近、 直撃します!!」



エールス「くそ、 砲撃用意、ミサイルを打ち落とせ」



 サーゲンレーゼはミサイルを打ち落とすため乱射をしたが、左舷のミサイルはすべて打ち落とすことができない。 



サフィー「ダメです艦長! 左舷多数のミサイル接近! 直撃します」


エールス「さすがにあのミサイルは不味い。 シノ、回避できるか」


シノ「やっていますが、あれは無理です」




 直撃する。前は固い戦艦でも、サーゲンレーゼは横からの攻撃にはそこまでのの防御力を持っていない。 



スラック「どうだ。 鋼鉄の新型戦艦でも、横からの溝内なら、膝を抱えるだろう?」





ジャン「艦長!!!ダメです」



 皆が終わりを想ったとき、サーゲンレーゼ船体近くでミサイルが爆発した。



「ふー、なんとか間に合ったな」



エールス「……グロス、殿、か」


 グロスはアルパに乗って、艦の窮地を危機一髪救った。


サフィー「艦長!! 艦に急接近するアームズドールが多数。 数は6 それに、見たことがない機体が一機、あります 」



エールス「新型か。 グロス殿頼めるか」




グロス「任せな艦長、こいつらを近づけさせなきゃいいだろ」



エールス「今のうちに態勢を整える。 整備班、破損部の修理を急がせろ


 砲撃班は攻撃の準備、 いつでも打てるようにしておけ」




グロス「スキャットマン 、こん数、やれるか?」



スキャットマン「い、いや、やれるかどうかはわからんけど、隊長が来るまで持たせてみるさ」


グロス「死ぬなよ」



スキャットマン「あんたもな」



 グロスは軽々と向かってくるエターを二機落として見せた。


マレー「2機落とされた? あれは、アルパが出ています! 隊長」



ニギュー「あいつは俺がやるよ、 隊長は母艦を!!」



 ニギューはブースターを吹かせ突撃した。


グロス「おいおい、威勢のいいエターがいるじゃねぇか、 ったくよぉ」



 スキャットマンも向かってくるエターを迎撃する。


スキャットマン「っち、かすっただけか、 行かせるか 今度こそ、落とす」


 その時、別のエターがスキャットマンを攻撃した。 すかさず盾で防いだことで一命をとりとめた。


マレー「プリーマ。 お前の相手は私だ」


スキャットマン「あっ、あぶねぇ、。 っくそ、あいつできるぞ……」


 マレーのおかげで、一機のエターがスキャットマンを抜けた。 






ニルス「おい! どういうことだ!? なぜ動かない」


エレク「俺も分からねぇんだよ。 マニュアル通り整備はしってけどよ、まさか、パイロットが乗って動かせぇなんて思わねぇだろうが」


ニルス「おい、このロボット! 何ふざけたこと言ってやがる。 今の状況が分かっているのか!?」



ニフティ「あなたは私の搭乗者ではありません。 システムの起動を拒否します」



エレク「おいおい、ちょっと頼むぜ。 整備の時は動いてくれているじゃないか」


ニフティ「それは、機械を介してですから。 あなた方ではこの機体に登場するには適しません。 よって、乗ることを肯定できません」


ニルス「お前、 俺が、これを動かせる力量がないと言っているのか」



 ニルスはその言葉が頭に来ていた。


ニフティ「少し解釈が違うようですか、あなた方ではこの機体を動かすことができません」


ニルス「ふざけやがって。 この艦が落ちれば、お前も終わりなんだぞ」


ニフティ「私にそれを決める権限はありません」


ニルス「もういい! 俺のアルパを出してくれ。 整備はどれくらい済んでいる? 出れるか? 急いで出なきゃ仲間がやばい」



 しかし、どの整備技師たちも答えようとはしなかった。


ニルス「なんだ?どうした? 出撃できないのか?」


エレク「そ、それがよ、 お前の隊長機な、…… 修理も完全じゃねぇんだけど、グロスの奴が乗ってっちまったんだ」



ニルス「な、なんだと……!! ふざけるなよ、あのおっさん!! あとは?出れる機はないのか」


エレク「あるにはあるけどよ、 あそこのプリーマだけだ」


ニルス「くそ、」




 スキャットマンののプリーマは苦戦を強いられていた。対するギニューとグロスはグロスが優勢であり、遊ばれているようでもあった。



ニギュー「なんだ、この隊長機、 動きがまるで……」


グロス「がら空きだぜ。 もらった」


 グロスがニギューにとどめを刺そうとした時、グロスに通信が入る。


スキャットマン「すまねぇ、グロス。 被弾しちまった。 俺は退却する。


 やられそうだ」



 グロスがモニターを拡大すると、大煙を上げて、落ちそうなプリーマが何とか浮遊していた。 

 後ろから接近するエター機。 やられる。



 グロスはすぐさまスキャットマンの援護に向かった。



ニギュー「マレー二等兵。 一ぴっきそっちに行くぞ気をつけろ」


マレー「なに?」




 その時にはすでに、アルパはマレーの背後にいた。 間一髪アルパのライフルを回避すると、スキャットマンの乗るプリーマはサーゲンレーゼへと帰還した。



マレー「やってくれましたね。 まぁ、母艦に逃げようと同じことですが」


ニギュー「マレー二等兵大丈夫か! 二人で追い詰めるぞ」


マレー「わかっています。 命令しないでください、私の方が階級が上です」



グロス「2対1ってか……」


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