第11話 ゲームセンターでばったり編①

「正輝、一緒に帰ろうぜ!」

「ああ、いいよ」


 放課後になるとすぐに正輝に声をかけてきたのは祐希だった。

 祐希。本名を上地祐希かみぢゆうきという。正輝と祐希は二年生になったばかりの時に仲良くなった。お互い帰宅部で、近くのゲームセンターでたまたま鉢合わせたのがきっかけだ。

 その時、正輝はクレーンゲームを。ぬいぐるみを取ろうとしていた。祐希はリズムゲームをしていた。ダンスを踊るタイプのやつ。

 

「帰りにゲーセン寄ってかね?」

「いいな。行くか」


 後期の中間テストも終わり、二年生の今年の主な行事は冬休みを残すだけとなっていた。

 正輝と祐希は一緒に学校を出た。

 ゲームセンターには学校から二十分くらい歩くと到着する。

 そろそろ、本格的に冬が始まろうとしていたので、外は肌寒かった。


「今日こそ、SSSランクを取ってみせる!」


 そう言って意気込む祐希。


「まだ、取れてないのか?」

「そう簡単には取れないさ。なにしろ、最高難易度だからね。もう、十回以上は挑戦してるけど、未だに一回も取れてない」


 それだけ、そのダンスゲームの難易度が難しいのか、それとも祐希のダンスが下手なのか。

 正輝はそう思いながららおそらく前者だろうなと思った。祐希に聞いた話によれば、今やってるダンスゲームは過去最高の難易度で作ってあるらしく、SSSランクを取ったことがある人は全国でも三桁もないらしい。

 

「取れるといいな」

「正輝は何か欲しい景品とかないのか?」

「最近言ってないからな〜。行ってから見てみるよ」


 ゲームセンターに到着すると、祐希は早速、空いているダンスゲームの台に飛び乗った。


「がんばれ!」

「おう!」


 ゲームがスタートして祐希は軽やかにステップを踏んでいく。

 祐希は中盤までミスすることなくステップを踏み続けていた。

 

「んーーー! 取れないーーー!!」


 祐希のステップに見入っているとそんな声が後ろの方から聞こえてきた。

 一人の女性がクレーンゲームの前で悔しそうな顔をしていた。


「ん? あの人は・・・・・・?」


 悔しそうな顔をしていた女性は正輝の知っている女性だった。


「どう見ても、真帆さんだよな」


 正輝は踊っている祐希に断りを入れると真帆の元に向かった。


「何してるんですか?」

「うわぁ!!」


 真帆は肩をビクッとさせてこっちを振り返った。

 



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