第10話 ケーキバイキングは誘惑がたくさん③


 ケーキバイキングからマンションに戻った正輝たちは、玄関の前にいた。

 家に着くまで真帆はずっと正輝に腕を絡ませていた。


「あの、そろそろ離してくれませんか?」

「えー、もう少しダメ?」

「ダメです。この様子を誰かに見られたら・・・・・・」


 そう言いながら正輝はキョロキョロとあたりを見渡した。正輝と真帆以外は誰もいない。

(俺はよくても真帆さんが困るでしょ。俺まだ高校生なんですから・・・・・・)


「別に私は見られても大丈夫だけどな〜」

「とにかく、離れてください」

「ちぇ〜。まぁいいや、今日はたくさんお話しできたし」

「今日は本当にありがとうございました」


 正輝は礼儀正しくお辞儀をした。


「私の方こそ、付き合ってくれてありがとね。また、連絡するね」

「早朝に連絡してくるのは、なるべく少なめでお願いします。寝てる時もあるので」

「それって、もし起きてたら、また迎えにきてくれるってことかな?」

「それは、まぁ、時と場合によりますね・・・・・・。今日みたいに酔っ払って一人で歩けない時とか・・・・・・」

「そっか。優しいね正輝君は。て、ちょっと待って!? 私、そんなに酔ってたの!? 確かに記憶ないけど・・・・・・。私、正輝君に何やったの・・・・・・?」

「聞かない方がいいと思いますよ」

「そんなこと言われたら、逆に気になるんだけど!?」

「じゃあ、言いましょうか?」

「いや、いい! 聞いたら恥ずか死しそう・・・・・・」


 正輝もそれがいいだろうと思っていた。正輝自身思い出したくなかった。

(俺も同じ意見です・・・・・・)

 真帆は顔を真っ赤にすると正輝のことをチラッとだけ見て、自分の家に入った。


「はぁ〜。やっと解放された・・・・・・。俺の方こそ恥ずか死するかと思ったよ」


 正輝はそう呟くと自分の家に入っていった。


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