07_自分を見つめる

自分のアパートに帰り、さっきからその、食卓の上に置いたパネルを見ている。


これは自分の無意識が自分の意識に見せる映像を、意識下においてそれと知りつつ見ることが出来る絵。目が覚めていながら夢を見ることの出来る絵だ。夜見る夢が自分の思う通りに見ることが出来ないのと同じように、この絵に写る映像がどのようなものになるか、見る自分自身でコントロールすることは多分出来ない。無意識は自分のものでありながら自分でコントロールすることが出来ないものなのだ。


今は何も見えない。ただ、その薄っすらと見えるおろし金のような模様を見つめている。


今日は諦めて寝ることにした。ウチには絵を飾る洒落た場所もなく、仕方がないのでパネルは冷蔵庫のドアに磁石で貼り付けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る