秘密結社黒い羊と、頭脳明晰でとても強く負け知らず(自称)のサンチョ博士のなぜか苦労しまくり!挙句の果てにはああ!!書くのも憚れるわ!ていうか(自称)つけたの誰だ!またあのクソ猫か!?クッソ!【規制】

青山喜太

第一幕 さあ始まるぞ私の物語の偉大なる1ページだ!そうなる筈だ!そうだよな!?

 薄暗いとある部屋の中、そこには様々なものが散乱している。散乱しているのは、所謂、化学の実験道具といったようなものだ。


 しかしそんな部屋の中でも、まるで部屋の主かのような異彩を放っているのが巨大なリングが設置された謎の機械、そのリングは人の丈以上の大きさを誇る。

 どうやら何者かがこのリングをくぐる前提で作られているようだった。


 この機械の名は、「瞬間転移装置(断じて魔法製ではない!なぜなら?!賢いサンチョ博士は?!小賢しいミス・アレン先生(先生は皮肉で言ってるんだ!!!!)の手を借りるのは嫌だから〜!!あかんべ!あとこれは正式名称だ!落書きじゃないから消すなよ!ヴァンパイアのメイドの小娘!お前さんに言ってるんだ!)」という。


 これは地の文がいきなり、ふざけ出したわけではない、この機械の開発者が本当にこんな名前にしたのだ。

 名前の通りこの機械は、どこかへ瞬間的に飛ぶことのできる、装置である。原理は省くがある地点とある地点を強制的につなげる、所謂テレポート装置だ。


 今この、偉大なる発明品はある者達の帰りを待っている。それは言うなれば最高の仲間たち、固い絆と信頼で結ばれている、ある発明家とその仲間たちだ。

 すると、機械は突如、光だしリングの内側を青い光で満たしていく、その光の中から2人の男と白い猫が飛び出してきた。


 1人の男は、見たところ中年で、所謂、白衣と呼ばれているものをその身に羽織り、ボサボサの白髪混じりの青い髪をしていた。

 そしてもう、1人の男の容姿は黒い髪に白い鎧、そして群青のマントを羽織り、帯剣していた、その姿はまさしく騎士だ。

 最後に、この中では浮いている白猫だが見た目は普通の猫である、毛並みはよく、どこかの恵まれた家に住んでいるようなごく普通の猫であると言う印象を受けた。

 そうこの2人と1匹こそ真の絆で結ばれた――


「サンチョ博士!どうしてお主の発明は世界の破滅一歩手前を行くんじゃ!」


 白い猫が喋る。サンチョ博士と呼ばれる、そうボサボサの青い髪の男に向かって。


「なぜ私が怒られる?!!一歩手前で防げただろ?!なぜか?!なぜならいつも私は一線を超えないようにセーフティをしてるんだ!どうだ参ったか!このクソ猫!万歳天才万歳!」


 そう言って、白髪混じりの青い髪を振り乱しながらサンチョ博士は、両手の振り上げ自分は全然わるくないからね!と言わんばかりに言い訳を、猫に対して繰り広げる。


「そのクソみたいな文句、毎回言わんと死ぬのか!?ていうか死ね!ボケ!そしてそのセーフティとやらはワシらのことか?!ワシらはお主の尻拭きか?!違う!!お前さんの尻を拭くなら、ネクロマンサーに使い古されたドロドロの腐っったゾンビの尻をふくわボケ!死ね!」


 猫のひどい罵倒に、サンチョ博士の脳内に怒りの物質が大量に放出される。


「あー言ったな!!死ねって!!二回も!お前が死ねや!うんこ!クソ猫!」


 どうやらその今しがた説明した絆とやらは、なかったようだ、どう見てもこの、白い猫とサンチョ博士は犬猿の中である。

 そんな聴き難く、醜い争いをもう1人の男は、つまり騎士はお茶を入れながら冷静に諦観する。


 騎士は博士の、尻拭きもとい、博士から突然依頼された仕事が終わったため、お茶を、飲みながら物思いにふけろうかと思っていた。


 しかし、このままでは殺し合いに発展しかねないと案じた騎士はひとまず2人(もしくは1人と1匹だが)をなだめることにした。


 もっとも騎士は知っていた、2人の喧嘩をおさめるのは、荒れ狂う通常の3倍の熱さのマグマの大波をティースプーンで鎮めろと言うようなものだ。つまり不可能だ。


 だが、だからといってここで黙って観ていて「化学vs魔法」の頂上決戦が繰り広げられるのも――

 面白そうだがやめておこう、騎士は思い直し2人をなだめるべく話しかけた。


「まあ落ち着けよ、サンチョ博士、アレン先生も、今回は結構、楽しかったし、世界は破滅しなかった、俺たち万歳、黒い羊、万歳!」


 そうだ結果はポジティブなのだ、そこに目をつければいいではないか、白い猫の方、アレン先生は納得できないだろうが、少なくともサンチョ博士は納得できるだろうと思っていたのだが。

 騎士の目論見は大きく外れた。

 白い猫と博士は口を揃えて言う。


「「お前は黙ってろ!この脳筋!ドンキホーテ!」」


 騎士は、ドンキホーテは要するにこいつと喧嘩をしたいから黙ってろ、と2人に言われてしまう。こんな時だけ息ぴったりな2人に笑いを堪えつつ。

 ぼそりとぼやく。


「あーあ、こりゃ完全に血が上ってるよ」


 ドンキホーテは思い返す。ことの始まりはそう、あれからだった。





 だがドンキホーテが思い返す前にまず、この世界のことをそしてサンチョ博士のことを語らねばなるまい、ここは剣と魔法の世界リナトリオン。

 2000年前に魔王が討伐されていらい、至って平穏な世界だ。まあ少しの争いごともあるが目をそこは人類の知恵と暴力でなんとかやってきた。


 そして、その世界は1人の天才を生み出す、その名も、サンチョ博士!あの白い猫と言い合っていた男だ!

 ファミリーネームはない、彼は捨て子だった。彼のその明晰な頭脳がどのように成長したかは不明だが、とにかく彼は天才だった。


 いわゆるタイムマシンと言われる装置を作り出せるほどに。


 それは革新的なことだった、なにせ剣と魔法の世界でタイムマシンを作り出してしまったのだ。

 彼は時間旅行を楽しんだ。同時に彼は時間を、統べる唯一の時空支配者になる筈だった――


 ある時は過去を支配し自分の帝国を築く筈だった――


 ある時は未来に行き、未来の革新的な発明で現在を支配する筈だった――


 ある時は現在に留まり、過去と未来を見通す、偉大な占い師、歴史学者、いや、神になる筈だった――


 筈だったのだが、それはとんでもないことになると、やってみて身に染みたのと、ある組織が邪魔をするせいで博士は諦めざるをえなかった。


 その組織の名は秘密結社「黒い羊」


 どこの時代にいても、その黒い羊はなぜか博士が歴史を改変しようとするたびに邪魔をしてきた、それは世界にとんでもない、変革をもたらしすぎるからと。

 黒い羊の、ボスはこう提案した。


「貴方の頭脳は素晴らしい。世界のために使わないかい?ただし歴史の干渉は禁止だ」


 歴史改変で死にかけた経験は博士にもあるため、渋々、黒い羊の命令に従った。


 だがここで終わる博士ではない。


 博士は黒い羊に言い渡す。


「私が、自由に研究できる場所を渡さんと!歴史改変しまくるぞ!バタフライ効果!パラドックス!意味わからんだろうが、起こしまくるぞ!いいのか?!嫌なら、そう、研究室を渡せ!」


 黒い羊のボスはそれに了承した、ただし監視をつけてという条件つきで。というわけでサンチョ博士は自由に研究をできるようになったのだ、黒い羊の本部の大きな一室を研究室に変えて。





 そして、黒い羊は度々、サンチョ博士の自由な実験に巻き込まれることになる。

 今回はその監視の係がやってきた、秘密結社「黒い羊」の構成員である、白猫の魔女アレン先生と騎士ドンキホーテがサンチョ博士の実験に巻き込まれたのだった。


 特に、なぜか2人は巻き込まれやすい。

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