Ⅵ 依頼

「おい、着いたぞ」


ゼノンにそう言われて顔をあげてみると、漫画で出てくるような豪邸が目の前に立っていた。

門が立っており、門から家本体までは100メートルほどの庭があった。


ロイがインターホンを押し


「すみませーん。依頼があって来ました。」

というと


「あ、はい。わかりました。今そちらに向かいます。」


と聞こえた。

その声は依頼主のおばあちゃんではなく男の人の声だった。


3分ほど待っていると、門の横の扉が開き

「お待たせしました。依頼した母の子供の藤浪凜太郎です。」

「こちらに着いて来てください。」


凜太郎さんは割と大柄で180センチメートルぐらいの人で朗らかな感じがした。


凜太郎さんについていき庭を通って、家本体のドアを開けて入った。

顔を上げると吹き抜けの大部屋にシャンデリアやステンドグラスがあっていかにも"豪邸"って感じだった。


「こちらにお座りください。」


と応待室のような部屋に通されそこでそういわれて僕たち3人は言われるがままに座った。


すると凜太郎さんから


「早速、本題に入らせていただきます。」


「今回の依頼は僕の兄弟である京太郎が事業に失敗し大きな借金を抱えたので遺産狙いで母のことを暗殺者を使って殺しにくるのでそれを守ってくださいとの依頼で間違えないですよね?」


と強めな焦り口調でそう言われた。


「はい」

とゼノンが返すと

衝撃な答えが返ってきた。


「その依頼は、母が心配症なために依頼した依頼なのですが報酬は払うのでお引き取りお願いできますか。」


!?


それに畳みかけていうように

「私の弟の京太郎が母のことを暗殺したいだなんて思うはずもないのです。」

「弟京太郎はたしかに借金を抱えましたが、母とは連絡はとっていなくても私とはとっていて、そんなことするわけないのです。なので遠いところまですみませんがお引き取り願います。」


、、

なんと、依頼のお引き取り願いであったのだ。

どういうわけか、息子さんからお引き取り願いが出されたのだ。

しかも、報酬は出すという。そんなラッキーな話はないのではないか。


僕がそう思っていると


「わかりました。」

とゼノンが言った。


よし、これで今日は終了だ。

僕たちは気を楽にしていると


すると

「すみません、依頼のお引き取りのことを一度お母様に確認してもよろしいでしょうか?

 依頼したのはあなた様ではなくあなた様の母なので」


とロイが隣でいった。


たしかに、依頼したのはこの人ではない。


すると凜太郎さんが

「母は今体調が悪く寝込んでいて人様に見せられる姿ではないのです。」

「しつこく言うようですが、今回の依頼も母のただの心配症です。」

「なので、お引き取りしてください」


と少し強めで焦っている口調でいった。


どうしても帰ってほしいように感じて、違和感を覚えた。

なにか、どうしても帰ってほしいわけがあるのか。


ここまで強くいわれてると従うしかなく

ロイも


「わかりました。」


といって僕たち3人は門を出た。



門の外で


やったー

今日はもう終わりだと思って気を楽にしていると。


ゼノンが


「あの息子、なんか隠しごとしてるな。」

「なんか、嫌な予感がする。」


と言ったので


「僕も違和感は感じました。」


と続けた。


ロイが

「嫌な予感っていうのは?」


と聞くと


「わからないが、息子さん何か隠し事している気がする。」

「怪しいから少し調べよう」


とゼノンが言って僕たち3人はこの家庭のことを少し張り込んで調べることにした。

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僕は僕の親を殺した人たちと殺し屋をする 小紫 @komurasaki

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