返信2

まず、誰かと交際していたことがあるのか、と君は聞いていたね。


一言で言うとある。

告白された次の日に断られた(罰ゲームだったらしい)のを含めると、

3人と付き合った。

一人は一年、一人は三年間付き合った。


そして性体験の有無だが、これもある、と言っていいと思う。


あるというか、何度か試行錯誤した、と言うのが正しいな。

しかし、それがきちんと形になる前に、

その男は職場の他の女性と関係を持ったので、それ以上の経験は無い。


ちなみに君と会った当時、私が無職だったのは、私がこの会社を辞めたからだ。

付き合った相手に浮気されて(その彼女とその男は後日結婚したらしい)

居づらくなって会社を辞めた。陳腐な理由だ。


これを言いたくなかったのは、

これについて君がどう思うか、

それを想像すると少し怖かったからなんだ。


でも今考えると、それも安いプライドだという気がするよ。


もっと情けないことを書いてしまうと――――

君が私を性対象として愛してくれたことを、私は少なからず、嬉しいと思っていた。


前述のことで、私はすっかりそういう事について自信を失っていたから

――――つまり、自分の自信のために、

私は君との関係を続けていたという部分が、

少なからずあったと思う。


全く、考えれば考える程、私は弱い人間だ。

自身のずるさについて、今は十分すぎるほどよくわかっているが、

当時は隠したかったのだよ。


とくに君にはね。


君に尊敬されながら、欲しいと思って貰いたい――――

なんて、私はずるいことを考えていたのだよ。




さて、ここまで、つまらない話を聞いてくれてありがとう。


こんな告白をしてしまったあとで、君がどう思うかはわからない。

だが、私は、また機会があったら会いたいと思っているよ。


できたら、顔を見て話したい。

無理なようなら、年賀状だけでもくれると嬉しいよ。

私の住所は変わっていないから。

ではまた。風邪など引かないようにね。


追伸


同封したしおりは、和泉式部のしおりだ。

出先でたまたま見つけて懐かしく、つい買ってしまった。

しおりなど今時使わないかも知れないが、記念に貰ってくれ。


あとそうそう、胸のサイズについてだな。

当時は太っていたからな。

GからHくらいだったと思う。

正確なことは忘れた。すまない。

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