消防士になりたい男の子  英文翻訳リメイク

ブレックファースト

消防士になりたい男の子とそのお母さん

母親はベットで横たわる自分の息子の顔を覗いていた。

「りょうた 調子はどう」

「バッチリだよお母さん」


青白く痩せ細った顔を笑顔にして良太が答える。絶対に1カ月前より悪くなっている。そう感じた。


りょうたはまだ9歳だ。そんな若さで白血病を患っている。そんな息子がから元気の笑顔でこちらを見ているだけで胸が苦しくて、喉が熱くなる。


どうしてこの子なんだろう。できるものなら自分が変わってあげたい。いつも同じことを思い、願うが奇跡は起きない。


「どうしたのお母さん」


いけない、少し考え込んでしまったらしい。息子がこんなに元気に振る舞ってくれているのに自分がこれでは申し分けがつかないではないか。


「ううん 少し眠たくなっちゃたのかもね」


すこし、暗い雰囲気になってしまったので話題を振ってみようと思い息子の手を握って問いかける。


「ねえ りょうた。あなた将来何になりたいか考えたことある? 

大きくなったらやってみたいこととか 夢に願ったこととか」


私も他の親と同じで、りょうたには全部夢を叶えてほしかった。だが白血病でそれは阻まれているのが現状だった。だから叶えられるものは今のうちに、全て叶えてあげたい。


「お母さん あのね 僕消防士になれたらなぁって思ってる」


私は、りょうたが夢を持っていることが嬉しくて思わず笑みが溢れた。


「わかったわ お母さん消防士さんにお願いしてみるからね」


「ありがとう」


その日のうちに私は地元の消防署に行った。

威圧感を感じるほど大きい梯子車や逞しい隊員が装備を点検していた。


「あのー 署長さんいらっしゃいますか」


「少々お待ちください」


そういって新人隊員であろうか、若い隊員が建物の中に走っていった。2分ほど待ったところだろうか。


「私がここの消防署、署長の有田と申しますが

何か御用でしょうか」


「忙しいところにすみません。わたしには9歳の息子がいて、息子は白血病で余命宣告されています。あと2週間の命で、そんな息子が将来は消防士になりたいって言っていて、どうにか息子を消防車に乗せて街中を走っていただけないでしょうか」


私は恥を捨てて一生懸命頼み込んだ。涙を流していたかも知れない。鼻水も出ていただろう。それでもこの願いを聞いて欲しかった。


頭を下げてからしばらくすると、署長の渋い声が耳に届いた。


「そんな依頼は受けられませんね」


と。





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