第25話エピローグ

・エピローグ


 男は死んでしまいました。そのあっけない死亡へ落ちていく最中、男は満足していました。小説の登場人物は時にして驚く程あっけない最期を遂げることがあるので、それに自分を自己投影して自分という作品を終わらせました。

 その死因は打ち所が悪いところに起因していました。首が曲がることのない後方にこんにゃくのようにグニャリとなっていました。片目は収まるべきところからはみ出し、視神経によってなんとか繋がっていました。

 心夢と晴美は事情聴取を受けましたが、事故ということで話がつきました。川の周りにたまたまいた数人は目撃者といえるほどの目撃者ではいなく、ゴミが落ちただけだと思ってそのまま帰路に立つものがほとんどでした。証拠と言えるものは2人の証言ぐらいしかなく、事実とはいえ、それは2人の有利に働く証言ばかりになりました。

 警察が引っかかったところに、最近に2人の祖父も同じような事故死をしたことがありました。少しばかり事件の線で探りを入れられましたが、殺人の証拠がないので問題沙汰にまではなりませんでした。それでも、少しの間は面倒くさい連絡のやりとりが2人と警察との間に起こりました。

 男の母は、泣くとともに謝まっていました。自分の家族が死んだ悲しみは予想できましたが、ろくに働きもしないドラ息子が親戚に迷惑をかけただけでなく、警察や世間様にも迷惑をかけたことに謝ることは2人には予想していないことでした。その母以外の家族数人はそこまで取り乱しておらずにその男の悪口を言っていたで、どちらに合わせるべきか2人は困惑してしました。

 法事も終わり、2人は家で冷房にあたっていました。2人の間には言葉はありませんでした。言葉がなくても言いたいことは通じ合っている気持ちでした。

 晴美は今回のこともさる事ながら、祖父のことについて話をしようかと思案していました。もう姉は祖父のことについて気づいているだろうと理解しながらも、改めて口に出すのは難しいものである。探るように様子を見ていました。

 心夢は祖父のこともさる事ながら、今回のことについて話をしようかと思案していました。もう妹は今回のことについて気づいているだろうと理解しながらも、改めて口に出すのは難しいものである。探るように様子を見ていました。

 2人は今回の出来事を通して、祖父の死より前の互いに理解し合えない状況から改善されました。それは大変素晴らしいことなのですが、その代わりに理解し合っているからこその問題に立ち向かわなければなりません。互いの人を殺したことに関する問題に立ち向かわなければなりません。

 それは2人が協力して乗り越えていくものなのか、それとも……

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心と晴 すけだい @sukedai

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