第3話 ていたいちゅう



 ――簡単楽ちん!


 ――時が進むのを眺めているだけのお仕事です


 ――時計とにらめっこ


「たのしいな たのしいな」


 このまま 何も変わらないでいたい

 それがきっと 一番

 誰も不幸にならないよ

 誰も傷つかない


 失われる事なんてないんだ

 怯えなくても良い


 膝をかかえて 丸まって

 目をとじて 耳をふさいで


 何もしてないけれど


 ああいそがしい


 停滞しているだけ


 あえて停滞させているんだ


「どうかこのまま何も変わりませんように」


「だって、頑張ったって。どうせ苦痛や悲しみが待ちかまえているだけだから」





「ストーリー」

 彼の心は折れた。

 だから、何も変化させることがなくなった。

 そうすれば、もう傷つかずにすむから。


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