第28話 スチル

「さぁ、これで完璧よ」

 鏡の前で、美月のメイクをしていたミキ。

「ミキちゃん、ありがとう!」


 美月はちょっと感動していた。

 思っていた以上の出来栄え。

 さすがは、我が親友。


 その時、ノックの音。

「はあい」

「そろそろ時間だそうだよ」


 健司が入って来た。

 美月を見て、驚いたように立ち止まる。


「これは・・・綺麗だ」

「でしょ~!」


 ミキが胸を張る。


「あ……時間があまりないから急がないと」

「あ、そうでした!」


 さて、いよいよ結婚式……の前に。


「じゃあ、ミキちゃん。結婚式までちょっと待っていてね。ごめんね」

「あぁ、お茶でもして待っているよ」


 結婚式の前に、カメラマンによる写真撮影があるのだ。

 これは絶対やるのだと、美月がこだわっていた。

 どうしても、写真を撮っておきたいらしい。しかもどうやら、健司のタキシード姿を。


 式場の庭にて、カメラマンとその助手に囲まれて写真撮影をする。


「さぁ、健司さん。ポーズをとって!」

「ポ・・・ポーズ?」

「目線は向こうの方で」

「あ、は・・・はい」


 美月はずいぶんノリノリである。


 おそらくは、コスプレ写真を撮っている気分と思われる。

 その間、しばらくは参列者を待たせることにはなってしまう。


 式場の窓から、こちらを見ている家族たち。

 なにか、見世物になっている気分だった。

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