第23話 ペーパーワーク

 健司と美月は瀬戸家を訪問していた。

 入籍の報告と結婚式の予定についての報告が目的である。


 といっても、入籍することは事前に話していたし、結婚式の日程はメールで確認済み。一応、礼儀として直接報告するためである。

 まぁ、近いことも会って1ヶ月に2回程度は訪問しているのであるが。


「そうかそうか、入籍したか…」

 父親である菊夫さんは感慨深げである。


「美月ちゃんが結婚(できる)とはね…」

 母親のさくらさんも、思うところがあるらしい。


「つきましては、結婚式はお伝えしたとおり○月○日に予定しております。別途、招待状を送りますので、よろしくお願いします」

 健司が伝える。

 すると、美月が言った。


「え?招待状って必要なの?」



「ま・・・まぁ一応、会場の場所とかの地図も連絡しないと行けないしね」

「そっか…考えていなかった」

 そう言った自分の娘に対して、さくらさんはちょっとお怒りモードになった。


 そのあと、さくらさんによる美月へのお小言が始まった。


−−−−


 結婚式について、インターネットはとても頼りになる。

 健司は、最近良く見るサイトで調べている。

 招待状も必要だが…席次表やメニューなどのペーパー類はいろいろ必要らしい。


 まずは招待状だ。

 幸い、出席者が少ないので印刷枚数は少なくてすむ。


「紙の種類も色々あるみたいだね」

「あ、じゃあ詳しい友だちに聞いてみますね」

 美月はスマホのメッセージで友人にいろいろ聞いているらしい。

 ミキちゃん以外にも親しい友人はいるらしい。

 あまり、会ったりはしていないようだが…


「なんでも、紙関係だったら〇〇という文房具屋さんが有名らしいですよ」

 調べると、二駅先にあるようだ。結構近い。

「じゃあ、今度行ってみましょうか?」

「あと、意外と100円ショップにもあるとか…」

「な…なるほど」


 週末に、文房具屋さんで和紙のような紙を購入してきた。

 プリンターで招待状を印刷する。


 案内状・返信用のはがき・会場の場所。

 インターネットを調べるとテンプレートが結構ある。

 それらを使うと、作成は簡単だった。


「それにしても、いろんなものを作らないといけないんですね」

「出席者が多いようなら、外部にお願いしてもいいんだけどね。我々は枚数が少ないから自分で作ったほうがいいと思うよ」


 招待所を出すと、いよいよ結婚式をするんだという実感が湧いてきた。

 なにやら、入籍する(法的な書類を出す)より大掛かりなイベントなんだな。

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