第6話 スキル試用

 さて、まずはスキルを見ていきますかな。


瞬歩*****************

MPを消費し、一歩だけ敏捷以上の速度で移動することができる。

*******************


 う〜ん、使えるかな? 

 一歩だけなのがやっぱり微妙かな? 

 まっ、使ってみてだな。

 ロケットパンチとかも試してみたいし。


回避王****************

自身に向けられた攻撃を何度も回避した者に与えられる称号。スキル『瞬歩』を獲得する。

*******************


 時々ある、最後の余計な一言はないのか。


生還者****************

命の危機から生還した者に与えられる称号。HP満タンの状態で受けた即死する攻撃を1日に1回だけ無効化する。

*******************


 は? ……めちゃ便利じゃん。

 便利だけど、HP満タンじゃないといけないのか。

 それはちょっと不便かな。

 それにランクが上がればHP満タンで即死することなんて少なくなるだろうし。

 まあ、今はかなり使えると思う。


 ……もう1つも見ておくか。


同族殺し***************

自身の同族を殺した者に与えられる称号。鬼畜。

*******************


 おい、最後。しょうがねぇだろ。

 ガラクタ以外に狩れる奴いなかったんだから。


 さて、スキルと称号の確認が終わったのはいいのだが……


*******************

名前:

種族名:マシンドール

状態:通常

性別:不明

LV:4/8

HP:2/20

MP:0/20

*******************


 うんHPとMPってどうやって回復するの? 

 このままだと簡単に死ぬんですが。


 えーと、ゲームとかだと、薬草とかかな。

 ……俺飲食出来ないじゃん。口ないし。

 それだと、寝る? 

 いや機械だから寝れないんじゃね? 

 睡眠無効とかいうスキルあるし。

 スキルとかの睡眠だけ無効化するのかな? 


 どうしよう。

 もう、辺りは暗くなり、殆ど何も見えない。木々のせいで月や星の明かりが届かないから真っ暗だ。

 何にしてもこの暗さだと動けないか。

 明るくなるでじっとしてよ。


 はぁ。今日は色々あったな。機械になったり、進化したり、死にかけたり。

 何でこんなことになったんだろ。

 死んだ記憶とかもないから転生した理由も分かんな——


 ……? ……? ……!? 


 あれ? 俺、名前なんだっけ? 

 そもそも何してたっけ? 

 おかしい。

 知識はあるのに記憶がない。

 自分の名前も親の顔も友達の顔も思い出せない。


 おいおい、勘弁してくれよ。

 はぁ、まあいいか。

 記憶がないから思い出したいとも思わないし。

 そもそも、戻れるかも分からないんだから思い出したら辛くなるだけだ。


 俺は空を見上げる。

 木々の隙間から見える星は綺麗だった。


 …………。


 暇だ。暇すぎる。

 MP無いからスキルを試すこともできないし。


 ……素振りでもするか。

 『短剣術』のスキル上がるかもしれないし。

 知識に無いってことは前世ではやったこと無いみたいだし。


 俺はマナリスを抜いて、アニメみたいに、逆手に構えて振り始めた。


 ◆◆◆


 やるもんだ。

 夜が明けるまで振り続けたことでスキルLVが1上がった。

 疲れないし、眠くもならないから無心でただ振り続けた。


 でだ。HPとMPどうしよう。

 結局どうするか思いついてない——ん? 


******************

名前:

種族名:マシンドール

状態:通常

性別:不明

LV:4/8

HP:11/20

MP:9/20

******************


 回復してる? 

 時間経過で回復するのか? 

 それでも一晩経って9しか回復しないのはどうにかならんのか。


 スキルが手に入ればもっと速くなるかな? 

 いや、そういうスキルあるか知らんけど。


 さて、MPもそこそこ回復したことだし、スキルを試してみますか。

 ……9しかないから使えないかもしれないけど。


 まずは便利そうな瞬歩にしてみますか。


 …………。


 スキルってどうやって使うんだ? 

 使おうと思えばいけるのかな? 


 瞬歩! 


 …………。


 しかし何も起こらなかった。


 さて、どうしよう。

 MPが足りんのか、はたまた使い方があるのか。


 しゃぁない。ロケットパンチも試してみよう。


 俺は右腕を前に突き出した。


 ロケットパンチ! 


 すると、右腕の肘から青い光を放ち、そこから先が飛んでいった。

 そして、5m程先の木に当たり、落ちた。


 使えたわ。

 じゃあ、MPが足りんのかな? 

 どんくらい使ったんだろ? 


******************

名前:

種族名:マシンドール

状態:通常

性別:不明

LV:4/8

HP:11/20

MP:4/20

******************


 5か。

 多いと見るか少ないと見るか。

 威力はそれほどなさそう。

 スキルLVのせいかステータスのせいかは知らんが。


 やっぱり、マナリスで斬った方が早そう。

 俺の攻撃力から考えたら素晴らしい攻撃力補正だよな。


 演算は本当にどうすれば使えるんだろ。う〜ん、1+1は? 


*******************

2

*******************


 うお、頭の中に文字が。こういう風に使うのか。う〜ん。俺のHPが完全回復するまでどのくらい? 


*******************

約9時間21分後

*******************


 しばらく間を置いてそう出た。

 おお、こういう使い方もできるわけね。

 ていうか長いな回復するまで。


 さて、スキルの確認も終わったことだし、森の中を探索してみますか。

 HPも11あればそう簡単には死ぬまい。


 だが、あのカエルもどき級の奴がいるかもしれないからな。

 警戒しながら進もう。


 手頃なFランクの奴がいればいいんだがな。

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