第5話 命からがら

 取り敢えず増えたスキルを確認してから、レベル上げしますか。


演算*****************

得た情報を演算処理する。スキルLVが上がる毎に演算スピードが上がる。

*******************


 そのままっすね。つか使い方よくわかんねぇな。


ロケットパンチ************

魔力を原動力に腕を飛ばす。使った時に腕を取りに行かないといけない。腕が潰れると直さない限り使えない

*******************


 微妙だな。

 1発撃つ度に腕を取りに行かないといけないくて、飛ばした腕を壊されたらもう使えないって。

『自己修復』のスキルがないと運用は厳しそうだな。

 ……称号も見ておくか。


盗っ人****************

人の物を盗った者に与えられる称号。泥棒。

*******************


 もう何も言うまい。


 さて、レベル上げしますか。


 俺は近くのガラクタをマナリスで斬りつける。


[経験値を獲得しました。称号『魔なる神の加護』の効果で経験値が増加します。2の経験値を獲得しました]


 レベルは上がらんのか。もう一体。


[経験値を獲得しました。称号『魔なる神の加護』の効果で経験値が増加します。2の経験値を獲得しました]

[経験値が一定数値に達しました。LV1からLV2に上がりました]


 お、上がったな。


[特性スキル『短剣術:LV1』を獲得しました]


 あれで手に入るのか。

 しかし、ガラクタだと経験値少ないな。


 さて、ステータスはどのくらい上がったかな? 


******************

名前:

種族名:マシンドール

状態:通常

性別:不明

LV:2/8

HP:5/10

MP:5/10

攻撃:4+52

防御:6

魔攻:2

魔防:4

敏捷:4

ランク:F

******************


 意外と上がってるな。

 しかし、これでもメタルイーターには勝てないんだよな。

 あっちDランクだし。


 さて、そろそろ他の魔物を狩りたいからここから離れるか。

 メタルイーターも怖いし。


 取り敢えず南を目指してみるかな。

 何故って? なんとなく。

 太陽を見て、いざ南へ。

 ちなみに今は夕暮れ時だ。


 すれ違うガラクタを斬りながら進んでいると10体倒した辺りでこの機械の残骸で埋め尽くされた場所の終わりが見えてきた。

 どうやらこちら側は森に続いているらしい。

 ……環境汚染とか大丈夫なのかな? 


 ちなみに10体倒してLV4まで上がった。

 その結果『同族殺し』とかいう称号が手に入った。

 ……ちょっと罪悪感を刺激された。


 森へ歩き出した俺の近くで物音がした。

 反射的にそちらを見ると、物陰からのそのそとメタルイーターが出てきたところだった。


 お互いに突然のことで5秒間程見つめ合った後、メタルイーターがそのカエルのような大きな口を開けてこちらを食べようと近づいてきた。

 俺は咄嗟に左へ跳んで回避した。

 俺を逃した奴は地面を埋め尽くす機械の残骸を喰らう。


 咀嚼しながらこちらに向き直り、先ほどより速く口を近づけてきた。

 俺は横や後ろではなく、前へ走った。

 相手はカエルが座ったような姿勢でこちらに口を近づけている。

 なので、相手の足と身体の間に隙間がある。そこを通り抜けたのだ。


 メタルイーターの右側に抜けた俺が振り返ると、相手は振り返りながら左の爪を薙ぎ払ってきた。

 俺は咄嗟に身体を地面にうつ伏せに倒れた。

 俺の頭上を風を切りながら奴の左腕が通過した後、すぐに起き上がり、前方へ全力で走った。


 ヤベェ、死ぬぅ! 

 さっきまでは運が良かったのと相手が手加減してたからだ。

 奴が本気になったら簡単に殺される! 


 落ち着け。まずは彼我戦力を確認せよ! 


******************

名前:

種族名:マシンドール

状態:通常

性別:不明

LV:4/8

HP:5/20

MP:5/20

攻撃:8+52

防御:12

魔攻:4

魔防:8

敏捷:8

ランク:F


装備:

『魔剣 マナリス:D』


特性スキル:

『鉄の体:LV2』『演算:LV1』『短剣術:LV1』


耐性スキル:

『毒無効:LVー』『麻痺無効:LVー』『睡眠無効:LVー』『病魔無効:LVー』『飢餓無効:LVー』『口渇無効:LVー』『失血無効:LVー』『窒息無効:LVー』『痛覚無効:LVー』


攻撃スキル:

『ロケットパンチ:LV1』


通常スキル:

『神鑑定:LVー』


称号

『魔なる神の加護』『盗っ人』『同族殺し』


*******************


 お、結構強くなってる——がまだ弱い! 

 レベルアップでHPとMPが回復しないのが痛いな。

 で、でも相手のレベルが低ければ逃げるくらいできるかも……


*******************

名前:

種族名:メタルイーター

状態:通常

性別:オス

LV:10/34

HP:130/130

MP:40/40

攻撃:65

防御:50

魔攻:20

魔防:50

敏捷:10

ランク:D


特性スキル:

『竜の鱗:LV2』


耐性スキル:

『痛覚耐性:LV1』


攻撃スキル:

『ドラゴンブレス:LV1』『ドラゴンクロー:LV2』『ドラゴンテイル:LV1』『噛み砕く:LV4』『転がる:LV1』『酸液:LV1』『咆哮:LV1』


回復スキル:

『自己再生:LV1』


称号

『大喰らい』『マシンキラー』


*******************


 お、おお! い、いけるのではないか? 

 森まで逃げれば奴の大きな体では追いつけまい。

 若干相手の方が速いがそこまで差はない。

 徐々に追いつかれるだろうがいけるかもしれない。


 という思考がフラグだったのか。

 チラチラと後ろを見ながら、走っていた俺はメタルイーターのスピードが徐々に落ちていることに気が付いた。

 疲れたなどと楽観視するつもりはない俺は気になりながら、それでもスピードは緩めずにメタルイーターを見ていると、奴が大きく息を吸うのに気がついた。

 それを見た俺は奴のスキル欄にあった1つのスキルを思い出した。


 俺は後ろを見るのをやめ、一心不乱に走った。

 しかし、森には付かず、後ろから凄まじい咆哮が聞こえてきた。


「ガアアアァァァァァァァッ!」


 見た目カエルのくせにまんまドラゴンの咆哮に俺の体は俺の意思とは関係なく、硬直した。

 体のうちから恐怖が湧き上がり、体がまったく、動かない。

 『咆哮』のスキルだろう。

 自分よりランクの低い存在を硬直させる。

 関係ないと思っていたスキルだったが全然関係あったわ。


[耐性スキル『恐怖耐性:LV1』を獲得しました]


 そんなアナウンスと共に後ろからドシン、ドシンと奴の足音が聞こえる。


 うおおぉ、動け、動け、動いてよ! 今動かなきゃ、今やらなきゃみんな(自分だけ)死んじゃうんだ! もうそんなのやなんだよ(今まで経験したことない)だから動いて——って動いた逃げろぉぉ! 


 走り出した俺の後ろでガシャンッ! と音がした。

 さっきまで俺がいたところだ。

 もうすぐ後ろまで来ている。


 くそぉぉ! 足止めしないと逃げきれそうにねぇ! でも、どうやって! 


 そう考えていた俺に影が降りた。

 咄嗟に右へ跳ぶ。

 さっきまで俺がいたところを奴の爪が穿つ。


[称号『回避王』を獲得しました]

[称号『回避王』の効果で通常スキル『瞬歩:LV1』を獲得しました]


 スキル確認してる暇ねぇよ! 

 どうする!? どうする!? 

 こう何度も避けられねぇぞ! 

 クソッ! もう賭けに出るしかねぇか。


 俺は止まり、後ろを振り返った。

 それは丁度、奴が右の爪を俺に振り下ろすところだった。

 俺は右に跳んだが、奴はそれを予期していたように、口で喰らおうと、顔を近づけて来た。


 一瞬驚く俺だが好都合だ。

 俺はジャンプして回避して、再び地面を埋め尽くす機械の残骸を喰らった奴の頭の上に着地する。

 そして、マナリスを鞘から抜き、MPを込める。

 MPを込めるのは意外と簡単に出来た。


 MPを込めたマナリスを奴の目、目掛けて振り下ろした。


「グギャアアァァァァァァァァッ‼︎」


 顔を振り回すメタルイーターのせいでマナリスが目から抜け、俺は振り落とされた。


 落ちた俺は、すぐに起き上がり、森へ向けて走り出した。

 ……こういう時、痛み無いって良いね。

 念の為俺と相手のHPを確認しておく。


******************

名前:

種族名:メタルイーター

状態:流血(中)憤怒(大)

性別:オス

LV:10/34

HP:82/110

MP:30/40

******************


******************

名前:

種族名:マシンドール

状態:通常

性別:不明

LV:4/8

HP:2/20

MP:0/20

******************


 ヤベェ、死にかけた。

 でも、結構ダメージを与えられたな。

 後3回できれば、殺せるじゃん。

 マナリス様々だな。

 もう一度同じこととか無理だけど。


 やっと、森へ着いたところで後ろから、憎しみに満ちた声と目を向けながらメタルイーターが走って来た。

 ずるいことに、目が治りかけている。

 『自己再生』のスキルだろう。


 俺は森の奥へ進んでいく。

 しばらく、進んだ後に後ろから木々をなぎ倒す音が聞こえた。

 こちらから奴の姿が見えないので奴からも見えないと判断して、無視して進み続けた。

 幸い、奴は木々を大きな音を立ててなが倒しながら進むので、奴の場所はよくわかるので、音と反対の方向へ進んでいくと、後ろの音がだんだんと聞こえなくなった。


[称号『生還者』を獲得しました]


 お、これ逃げ切ったんじゃないか? 

 やった、第1部完! 


 思わず、俺は両拳を上に突き上げた。


 しかし、疲れた。精神的に。


 俺は近くの岩に腰掛け、しばらく休みながら、獲得した称号とスキルを確認することにした。

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