第6話

西野アイリにはこう言われていた。

「校門のところに、

16:30分、に居てよね」と。



その時間、俺は少し遅れちまった。


「悪かったな。数学の補習が長引いちまってよ」


「え、別にいいけど。ちょっとまって、

シンジくん、補習?」


そんな会話をしつつ、歩き出した俺ら。


「シンジくん、見るからにヲタクっぽくて、眼鏡もかけてて、なんか、真面目なガリ勉くん、て感じなのに、補習?テストの点数悪いの??」


「ああ。この前の定期考査は4点だった」


「うそぉ、意外!私より悪いじゃん!」


「おまえは何点だった?」


「私はぁ、52点。補習は50点以下のひとが受けるじゃんね。だからギリギリセーフ」


「そっか。よかったな」


「うん、よかった」


そんなたわいもない会話をしつつ、

歩道橋のとこまで来た。


道路の向こう側に渡ろうとして、

階段を二人して昇っていた。


ここまでは。


至極平和だった。


だけど。


急に西野アイリだけ、がくっと膝が折れたんだ。



「きゃっ....!!」


「え....」


俺が振り返ると。


見るからにヤンキーと思しき、

三バカトリオ...あ、いや、俺もバカなんで

ヒトのことは言えないが、そんなあだ名を

つけるに相応しい男三人が背後にいた。


一人だけ金髪の男がいる。

三人のなかでリーダー格だろうか?目付きの鋭い三白眼の男が、

アイリの右肩に右手を置いていた。


そして、俺に向かって言うことには。


「おい、陰キャ眼鏡!!

このビッチ女、置いて、とっとと

消えろ...!」


「そうすりゃあ、お前は無傷で帰してやんよ」



「いや、離してよ!」


「だーれが離すかよ!この淫乱女!!

バカだなぁおまえ!男誘っておいて!

見るからに声掛けてくれって言ってるよーな、もんだろ!スカートのなか、履いてないって、そーゆーことだろーがよ!!」


「制服のスカート、押さえて歩けばよかったのに!!

ほんっとーにバカ!」



「.....っっ!!」


アイリは困り顔だった。


今にも泣きそうな顔してた。


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