【爆発カウントダウン】どう切り抜ける?・その二

□爆弾を解除する・その一

 逃げ道があるか、分からない。

 もしかしたら、もっと良い方法があるのかもしれない。

 それでも私は、目の前に現れた脅威に立ち向かい、取り除くことが最良であると考えた。

──要は、目の前にあるこの爆発物を私の力だけをもって、解除しようということである。

 何の専門的知識も持たないど素人の私に、果たしてそんなことが可能であるのか。

 余計な配線を弄ってしまい、逆に爆破の速度を早めてしまいそうなものである。

 解除の仕方だって、分からない。


「……それでも……やるしかないんだ!」

 私は自分を説得するかのように言い聞かせ、己を奮い立たせた。

 他に頼れる者は誰もいないのだ。

 頼れるのは全て、自分のみ。自分一人で解決しなければならない。──そんな状況だ。

 現実から目を背けてはならない。


 私は爆発物が入れられたプレゼントボックスに、ゆっくりと手を伸ばした。

 思えば、まだ中を改めてはいない。

 単なる杞憂で、プレゼントの目覚まし時計が入っている──なんてオチはないだろうか。

 恐る恐るリボンを解き、包装紙を破っていった。

 出てきたのは箱だ。

──私はフタを開けた。


「はっ?」

 思わず声を出してしまった。こればかりは、出さずにはいられない。


 プレゼントボックスの中に入っていたのは──配線が張り巡らされた機械でも、ダイナマイトの筒などでもなかった。

 ただ目覚まし時計が一つ──静かに時を刻んでいた。


『起爆まで後三分……』

 秒針が進むのに合わせて、時計の内蔵スピーカーから音声が流れてくる。


──どういうことなのだろうか?

 ただの目覚まし時計──?

 本当にそうなのか、まだ分からない。見た目は単なるカモフラージュで、触ると爆発する仕掛けが施されているかもしれない。

 私は恐る恐る、目覚まし時計の上部から突き出ているボタンを押した。

 これは本当に賭けであった。もしこれが本物の爆弾であったなら、こうして下手に触るのも良くなかったのかもしれない。


──カチッ!


 ボタンを押すと──目覚まし時計から流れていたアナウンスが止まった。

 これが本物の爆弾かどうかは分からないが、どうやら止めることら出来たようである。

 私は、安堵の溜め息を漏らした。

「良かった……」

──全ては、ただのイタズラだったのだ。

 爆発物のように思わせる、悪意のあるセッティングが施されているだけであった。

 勿論、このことは実際にプレゼントボックスの蓋を開けて、中身を確認しなければ分からない。

 それまで爆発物が仕掛けられていたと思い込んで気張っていた私の心労は凄まじく、その場にへたり込んでしまった。

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