第2話

「え、いましたか!?俺の高難度な条件全てに当てハマる女が?」


「いないですよね、あり得ない...」



山野井先輩は嬉々として、


「それがー、一人だけいたの!近所の世話好きなオバさんとか、職場のやつら全員に当たってさ。ローラー作戦でしらみつぶしに探した結果...」


「その結果?」


俺はごくりと唾を飲んだ。


返答を待つ。

妙な間をつけて先輩はこう言い放った。


「真島マヒロちゃんよ!」


「は?」


一番、お見合いしたくない相手の名前だった。


俺の元カノ。正確には俺の元偽カノ。


そして、幼稚園時代からの幼馴染。


幼少期から散々、馬鹿みたいなことで口喧嘩して、

街で美少女をチラチラ見てただの、

私のこと大事にしてない、誕生日プレゼントは

もっと別なものがよかったなどと宣った女。

顔はそこそこ可愛いが、性格は超絶悪いと思う。じゃあ、なんで、彼女と付き合っていたかって?それはだな、親の再婚でできた、

義妹のアイリが、やたらと俺にベタベタしてくるもんだから、幼馴染のマヒロに偽の彼女役をお願いしたんだ。


つまり、あれだ。


マヒロと付き合ったのは致し方なかった。

他に偽の彼女役なんて頼める女友達は、

俺の周りにいなかったんだ。


彼女作れば、義妹アイリのガムテープっぽい

粘着も少しは解消されるだろう、と

踏んでた。


「お兄ちゃん、幼馴染の彼女できたんだって?」


「おう」


「そかー。じゃあ、お兄ちゃんと腕を組んで歩くの、少し遠慮しなきゃだよね」


「幼馴染の恋愛って最強なんでしょ...。

私、悔しいけどちょっと引くね」


「そうだな」


俺の目論見通り、金髪ボブで派手派手な

顔可愛い義妹は俺から少し距離をとってくれていた。

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