第7話 [溢れ出るイケメン雰囲気]
学校につき、各々のクラスへと向かって自分の席に座った。
まだ私のことをチラチラと見てくるクラスメイトが多数いた。特に干渉することはなかったので私はバックから本を取り出して黙々と読み始めた。
「姉貴〜、何読んでるんですか?」
せっかく地味ムーブをしていたのに華織が私の前の席に座り、話しかけてきた。
まあ無視するのは良心が痛むので話すことにした。
「ラノベだよ」
「へー。あたしあんまり小説読まないですねぇ」
華織は頬杖をつきながら私をジィーっと見つめていた。
「小説はいいよ?漢字も覚えられるし」
「じゃあ今度おススメを教えてくだい!!」
「まぁいいよ。じゃあ放課後にでも行こうよ」
「えっ!そ、それって———。行きます!!行かせてください!!」
華織は頰を赤く染めてワタワタとしながらそう言った。
「華織……もしかして“デート”って思った?」
私はメガネの隙間から目を覗かせ、ニィっと不敵に笑ってそう言ってみた。
すると……———
「あ、あぅ……そ、そそそ………」
頭のてっぺんからプシューっと湯気が出て、みるみる顔が茹で蛸のようになっていた。
「ご、ごめんて……」
結構うぶなんだなぁと思った。
〜〜
四時間目が終わり、弁当を食べに行こうと思ったら教室のドアが開いた。
「フミちゃんお弁当食べよー」
「旦那様、お弁当を作ってきたので食べましょう」
案の定、いつもの二人がやってきた。
「はいはい、そんじゃあ行こっか」
「「「はーい!」」」
マイベスト弁当ポジョンたる屋上へ向かうべく弁当とペットボトルを持って教室を出た。
そして屋上へついた。柵にもたれかかり、弁当の蓋を開けて食べ始めた。
「旦那様♡はい、あ〜ん」
「私自分の弁当あるんだけど……。ってか旦那じゃないから!」
海宝さんは“運動会…?”と思うぐらいでかい弁当を持ってきており、卵焼きを箸で挟み、私の頰にグイグイと押し付けている。
「おいコラァ!姉貴が困ってんだろ!!はむっ!」
華織が間に入り、押し付けられていた卵焼きを食べた。
「あぁ!?ちょっと何してくださるの!?」
「ふんっ!」
二人はギャアギャアと騒ぎ、喧嘩が勃発した。
「フミちゃん、これ僕が作ったんだけど食べくれれないかな……」
真雪ちゃんが上目遣いでこちらを見つめ、ミニミニハンバーグを箸で挟んでこちらに向けていた。
「ほんと?じゃあもらおうかな」
「は、はい!あ、あーん……」
私はハンバーグを一口で食べた。
「ふんふん……ん!美味しい!」
「ほ、本当!?よかったぁ……」
真雪ちゃんはホッと胸をなでおろしていた。
「毎日作ってるの?」
「うん、お母さんは忙しくって……」
「へー……。えらいえらい」
私は自然と真雪ちゃんの頭をポンポンとしていた。
途中でハッと我に返り、手を離した。
「ご、ごめん!嫌じゃなかった……?」
「プシュー………」
真雪ちゃんは顔を真っ赤にして目がグルグルと回っていた。
「わー!!真雪ちゃぁぁん!!」
「あ、頭に……フミちゃん……えへ…えへへ……」
ちょっとやばそうだったので放っておくことにした。
真雪ちゃんごめん……。
〜〜
「ちょっとトイレ行ってくるね」
私は弁当を食べ終わった後、お腹が痛くなってしまったのでトイレに行くことにした。
「「「………」」」
百合園が消えた後、三人は無言になった。
その静寂を破ったのは海宝であった。
「あなた方……百合園様のことをどうお思いなのですか?わたくしはもちろん、ご結婚したいぐらい好きですが……」
それは二人に対する宣戦布告であった。
「あたしもす、好きに決まってんだろ!!」
「僕ももちろん大好きだよ!!」
二人は負けじと大声でそう答えた。
「ではわたくしたち三人はライバルとなりますね?」
「絶対負けないかんな……」
「フミちゃんは僕が手に入れる……!」
〜〜
「へっくし!………風邪か?」
百合園はトイレに座りながらそんなことを呟いていた。
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