第6話 [地味女子を装う理由]
私が中学生の時は陽キャの中の陽キャであった。
だが今は地味系女子のキャラで通していた。それには理由があるのだ。
それは“モテすぎた”からだ。
自分で言うのはあれだが、かなり顔立ちはいいし勉強もでき、運動神経抜群だったのでモテる要素はたくさんあった。
男子はもちろんだったが、女子まで私に惚れてしまうという事態が起こった。それは私の学校に収まらず、他校にも続出した。
そして戦争が起こり……というのはなく、毎日私に振り向いてもらおうと様々な贈り物や電話の殺到などなど……。
私の平穏な日常は崩れていってしまったのだ。
私たち家族は遠くへ引っ越し、「高校生では地味に、一人で過ごそう!」と意気込んでいた。
そう意気込んでいたのに……。
「姉貴! 今日もその髪型なんですね!」
「それでもフミちゃん可愛いよ♡」
「お二人とも離れなさい?わたくしの旦那様よ?」
「「はぁ?」」
現在私は高校へ登校途中だが、三人の美少女たちが私の周りでギャアギャアも叫んでいる。
なんてこったぃ。まだ五月で入学してそんなにも経っていないのに計画失敗だよ…。
騒いでいる三人に対して私は手を頭につけて絶望に浸っていた。
あと地味にまだお腹と頭が痛いといういと悲しきこと……。
「姉貴どうしたんですか!? 具合が悪そうですけど……。あたしがその原因解決しますよっ!!」
「そうですわ!」
「いや……大丈夫」
頭痛の原因はこいつら二人なのかもしれないな……。
「フミちゃん大丈夫……? 風邪だったり?」
「んーん、本当に大丈夫。私がそんなにひ弱なわけない」
「そっか!!」
納得すんのかい。やっぱこの中で真雪ちゃんが癒し系キャラだな、うんうん。
心の中でそう納得していると、いつのまにか真雪ちゃんが私の右腕に抱きついて来ていた。
右腕にはまるで巨大なマシュマロに包み込まれているような感触だった。
「あぁ! テメェ!!」
「………」
華織は自分の胸と真雪ちゃんの胸を交互に見て「チクショー!」と叫んでいた。
海宝さんはジィーっと真雪ちゃんの胸を睨んでいた。
「あれには勝てそうにないですからね……でも負けられません!」
海宝さんも私のもう片方の腕に抱きついてきた。
「お、お前らぁ……」
華織は私の両腕にいる二人を睨んでいた。
「あら美澄さん。もうあなたの場所はないですし……そのお胸では……」
海宝さんはニヤァっとされたらうざい顔を華織にしていた。
「こんのぉ……調子乗りやがってぇ……。姉貴! ガツンと言ってください!!」
「えぇ……なんで私が……」
いきなりこちらに振られても困る……。
「まあまあ、みんな仲良く……ね?」
私は顔を少々引きつらせながら争っている三人に向かって言った。
「僕は全然オッケーだよっ!」
「まぁ……旦那様が言うならば仕方がないですね……」
「私は女だから……」
なんだかなぁ……。波乱万丈な日々がこれから送られる予感がするなぁ。
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