第9話 どこまでも(梨烏ふるりさんからいただいたお題「自由帳」)


 真っ白な羽は青い空を飛ぶと青く染まり、森の中で過ごせば緑へと変わる。


 時にはどんなところを旅してきたのかと問いたくなるような鮮やかな彩の鳥もいる。またどんな暗い場所を命からがら抜けてきたのかと案じるような色の羽のものもいた。


 美しい歌声を響かせ、軽やかに飛び行く鳥たちの羽にはたくさんの物語がつまっている。


 だから目を閉じて耳を澄ませてごらん。


 自由を愛する鳥たちがさまざまな出会いとまだ見ぬ国の話をしているのが聞こえるから。


 お前もその翼を広げて世界に旅立ち、その白いページにたくさんの思い出や景色を描いておくれ。

 そして白い羽がお前らしいすてきな色で染まったら帰っておいで。


 いろんな話を聞かせてほしい。

 愛しいお前のその声で。


 悲しいことなどあるものか。

 お前が遠い地でいろんな経験を乗り越えたくましく生きる姿がわたしには見えるのだから。


 さあ、お行き。


 わたしはここでお前の帰りをずっと待っているからね。

 安心して旅立つがいい。


 今日、この日が新たな世界の始まり。


 春の香りを纏って羽ばたいていくがいい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る