【『森喜朗を首にしろ!』の根拠が『オリンピックの理念』、とやらであるらしいが……】

 これまで考察をしてきた結果、森喜朗発言は女性蔑視発言ではないと結論したい。

 これは『会議をやりたくない人が〝会議を長くする人を敬遠したい〟という感情を吐露した発言』に過ぎない。


 しかしまだまだ考察を続けねばならない。『森喜朗をオリンピック組織委員会の長にしておくな! 首にしろ!』この理屈を正当化するための裏付け、即ち大義名分はどうなっているのだろうか?


 

 なんでも森喜朗発言はオリンピック憲章(https://www.joc.or.jp/olympism/education/20081003.html参照)の〝その6〟に反しているから、ということらしい。

 それがどういうものかというと————


その6『人権、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別はいかなる形であれオリンピック・ムーブメントに属する事とは相容れない』


 要するに『森喜朗が女性蔑視をしているので〝性別に基づく差別をした〟ことになる! 故にオリンピック憲章違反で会長職は首にすべき!』という理屈になるらしい。

 もはや間違った前提を基に誤った結論を導き出していると言うほかないが、しかし当のIOCがオリンピック憲章に違反していることについて、今森喜朗を攻撃している連中は突いたことがあるのだろうか?



 そこでオリンピック憲章〝その4〟を紹介しておく。


その4『スポーツを行うことは人権の一つである。すべての個人はいかなる種類の差別もなく、オリンピック精神によりスポーツを行う機会を与えられなければならず、それには、友情、連帯そしてフェアプレーの精神に基づく相互理解が求められる』


 『スポーツを行うことは人権の一つである』。差別がどーとか書いてあるけど、人権の中で最も重要な人権は生きる権利、『生存権』じゃないのかね。

 この異常気象の中、真夏の酷暑の中スポーツ大会を開くことがどれほど無謀か。

 NHK大河ドラマ『いだてん』は非常に視聴率が悪く、見ている人もろくにいなかったようだが、ぜひとも紹介しておきたいエピソードがある。

 主人公『マラソン日本代表・金栗四三』が日本人として初めてオリンピックに出た1912年のストックホルム大会。この大会は真夏に行われ、マラソン競技で死人が出たことが描かれていた。

 アメリカのテレビ局が出す莫大な放映権料に目がくらみ、真夏の開催に執拗にこだわり差別云々以上に重要な、人権の中の人権、キングオブ人権である生存権をないがしろにしているのはIOCだ。

 1964年の東京大会は10月開催だったのに、この隔世の感。もはやオリンピックは腐敗の極みである。


 



 また、このマラソン会場札幌移転もオリンピック憲章に反する。それはオリンピック憲章〝その3〟だ。


その3『オリンピック・ムーブメントは、オリンピズムの諸価値に依って生きようとする全ての個人や団体による、IOCの最高権威のもとで行われる、計画され組織された普遍的かつ恒久的な活動である。それは五大陸にまたがるものである。またそれは世界中の競技者を一堂に集めて開催される偉大なスポーツの祭典、オリンピック競技大会で頂点に達する。そのシンボルは、互いに交わる五輪である』


 『世界中の競技者を一堂に集めて開催される』って書いてあるのに、マラソン会場、東京からどれだけ離れていると思ってるの? 東京から八百キロも離れた場所へ移したら全然ひとつの場所に集めてないだろ!


 当代のIOCが散々オリンピック憲章を踏みにじっているのに、誰もマラソン会場札幌移転の時に『オリンピックの理念』がどーとか言ってないよね。なぜだろう。


 どうして森喜朗だけを『オリンピックの理念』とやらで攻撃できるのかな? 森喜朗だからなんでもやっていいなんてのは単なるイジメ側の論理、最低のクズ人間のすることだ。


 そこで改めて問うけど、なんで今さらそこまでこの商業オリンピックを美化しているのかな?


 繰り返すがどう体裁を取り繕おうとしても理屈の無い攻撃は差別なのである。

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